北アルプス黒部源流の地において近代山小屋文化の歴史を切り拓いてこられた故・伊藤正一さんの写真展が開催中と知り、エプソンスクエア丸の内へ出かけた。入場料は無料。
かつての伊藤さんは、話術にたけた山賊と一夜を共にした実体験をお持ちで、その後は山賊達と真摯に向き合い人間関係を構築されたりと何しろ只者ではない。
写真集『源流の記憶』と同じものがプロジェクターでスクリーンに映しだされている。J.S.バッハの『G線上のアリア』、ギターの名曲『アルハンブラの思い出』がBGMとして交互に流れていて思わず目頭が熱くなってしまう。どちらも私の大好きな曲。。。
特に『アルハンブラの思い出』は遥か昔、幼少期の頃に父が弾いてくれた思い出があり、切ない旋律に心を打たれたのをハッキリ覚えている。難しいはずのトレモロ奏法が完璧だったギターの腕前は、プロ級だったのではないかと回想する。
その後、疎遠になった父とは殆ど会うこともなく大人になった。色々あって、父の訃報を母から聞いた時は自業自得とさえ思った。
ところが、ある日何気なく観た洋画DVDからこの曲が流れてきた時、私の中で奇跡が起きた。あまり詳しくは書けないけれども、それだけ感慨深い一曲なのだ。
アルハンブラの思い出 (ギター名曲) タレガ
かなり脱線してしまったが、三俣山荘は今まで訪れた山小屋の中で一番ホスピタリティが高く大好きな小屋だ。
たとえ休憩だけの登山者であっても信じられないような温かい対応をしてくださり感激したことがある。若旦那、若女将、スタッフさんにまで故・伊藤正一さんのスピリッツがきちんと受け継がれているように感じる。
因みに、ギャラリー撮影は条件付きでOKを頂いた。一枚一枚を撮るのはNGだけれど風景のように広い範囲を撮るのは問題ないそうだ。
せっかく台風が去ったのに雨続きで山に行かれず、悶々と過ごしていたこの数日。北アの稜線に思いを馳せながら、手元にある『黒部の山賊』をまた読み返してみよう。
会期:2019年6月28日(金)~7月25日(木)
時間:10:00~18:00(最終日は14:00まで)
休館: 日曜日
【東京写真月間2019】
https://www.epson.jp/showroom/marunouchi/epsite/gallery/exhibitions/2019/0628/
【追悼 伊藤正一】
https://www.kumonodaira.net/tokushu/shoichi-ito.html