北アの三大急登と言われるブナ立尾根にいつかチャレンジしたいと思っていた。
去年の秋、三俣山荘でお会いした女性Mさんに七倉からの裏銀座縦走をお勧めされて「では来年!」とその場で決意したルート。
翌朝のガスで断念した鷲羽岳も合わせてリトライするはずだったのだけれど。。。
往復のアクセス・トイレ情報
[往路]
22:15 メトロ東西線にて竹橋(着)
22:40 竹橋より毎日あるぺん号
23:10 新宿BT
03:53 七倉山荘(8200円)
※竹橋からの出発は10分遅延
[復路]
12:40 高瀬ダムよりタクシー相乗り
12:55 七倉山荘(1000円×2名分)
13:00 七倉山荘よりkitainotori さんのお車にて大町温泉郷
**黒部観光ホテル♨日帰り温泉**
15:15 大町温泉郷BSより路線バス
15:38 信濃大町(530円)
15:56 信濃大町よりJR大糸線(発)
※松本よりあずさに乗車
<トイレ>
●七倉山荘(屋外)
●高瀬ダム(使用せず詳細不明)
●烏帽子小屋(屋外ボットン、要チップ)
その他周辺情報
[野口五郎小屋]
一泊夕食のみ 8500円
水は購入
自炊室は屋外もしくは玄関脇の喫煙場にて
[タクシー]
アルプス第一交通
電話 0261-22-2121
[温泉]
黒部観光ホテル
露天も内湯も湯温がちょうどよく居心地がよすぎて長居してしまう
アメニティグッズも充実している
800円のところkitainotori さんのご厚意により550円に割引して頂きました
何から何までありがとう! (*^^*)
長野県大町市観光公式サイト・大町温泉郷
コース状況・危険個所
ブナ立尾根登山口近くの濁沢丸太橋が大雨のため濁流に流されたので要注意!!
(あくまでも2016年9月18日 11:30頃~の情報です)
●ブナ立尾根
北アの三大急登と言われているだけあって冒頭より確かに急登が続くが要所は整備されている印象を受けた
三角点の辺りは少し緩やかになりその後また急登に
●烏帽子岳
前烏帽子より一度下って登り返す
鎖場はあるがスタンスしっかりあり難易度は高くない
●烏帽子小屋~野口五郎小屋
キャンプ場の辺りはいい雰囲気
三ッ岳の登りがまたキツイ
途中で降り出した雨が強まったせいもあり、アップダウンを繰り返し行けども行けどもなかなか小屋に辿り着けない感じ(翌朝の下りはだいぶ楽だった)
自己CT
[1日目]
04:18 七倉山荘
04:19 七倉登山口
05:35 高瀬ダムトンネル手前
05:40 不動沢吊橋
05:45 高瀬ダム キャンプ場
05:56 濁沢丸太橋
06:00 ブナ立尾根取付(12番)
07:45 7番看板 07:52
09:28 三角点
09:41 タヌキ岩
10:58 烏帽子小屋 11:29
11:59 烏帽子岳山頂分岐
12:24 烏帽子岳 12:26
13:12 烏帽子小屋
13:25 烏帽子ひょうたん池
14:47 三ッ岳分岐
14:48 三ッ岳
17:02 野口五郎小屋
[2日目]
06:58 野口五郎小屋
08:26 三ッ岳
09:05 烏帽子小屋
09:50 三角点
11:33 ブナ立尾根取付(12番)
12:28 高瀬ダム キャンプ場
12:42 高瀬ダムトンネル手前
ブナ立尾根でまさかの出会い
前回の失敗を恐れて満席になる前に早めに夜行バスを予約していたにも関わらず、それを忘れて再度ネットで予約してしまい(笑)。
控えていた受付ナンバーを見て慌てて電話でキャンセルするというオマケつき。
日が迫るにつれ、予報がどんどん悪くなる。はぁ…また台風かー。
プラス秋雨前線って。ちょっと早くないですかー??
でもまだ奄美大島付近なら大丈夫と思い、予定通り決行することにした。
[七倉山荘]
http://webmarunaka.com/nanakura/
到着した時はまだ真っ暗だけれど空には星が。
山荘は閉まっているけど屋外テーブルと椅子は使えるし、公衆トイレはとてもキレイ。
簡単な朝食を摂り準備をして出発。
トンネルがまだ点灯されておらず(この1本のトンネルのみ点灯)、ヘッドランプの灯りも何だか頼りない。
最初はワクワクだったけど、だんだん怖くなってきて。(((((((・・;)
後方より微かに聞こえる男子2人組の笑い声に何度救われ勇気づけられたことか。
[高瀬ダムトンネル入口]
ピンボケしてるけど念のため掲載。
帰りはここでタクシー1台が待機していてとても助かった。
[不動沢吊橋]
ノコンギクさん、行ってきます!
[濁沢・不動沢キャンプ場]
キャンプ場には誰もいない。
[濁沢の丸太橋]
この丸太橋が何度か流されているのはヤマレコで知っていたので、あーこれが例の橋ね!と思わず声が出てしまう。
ところが下山時、濁流にのまれ跡形もなかった。。。
2日目は三俣山荘泊の予定だったし、まさかここで難儀するとは予想しておらず。
素晴らしいブナの森。
ブナ立尾根は冒頭よりキツく、涼しいはずなのに汗が吹き出る。
要所要所は整備された急登という感じ。
こんな階段もあったり。
この時点ではまだ青空が広がっていたんだよね。
この茶色いキノコ、毛が生えてる~。
色んなキノコを発見するたび足が止まってしまう。
[中間地点の7番]
ちょっと一休み。
地下足袋を履いた男性に話しかけられ野口五郎小屋まで行きたい旨を話すと「大丈夫ですよ、ゆっくりいらしてください」と励ましてくださった。
去年までは野口五郎小屋、現在は烏帽子小屋の管理人さんだそう。
どうりで軽々と登って行かれた。
何だか力が出ないので羊羹を。
後から登ってくるハイカーさんにどんどん抜かされる。。。
黒戸尾根と同じく、皆さん速いったらない。
[タヌキ岩]
どこがどうタヌキなのかは不明。
ほんと、黒戸尾根みたいだ。
ゴゼンタチバナの赤い実。
展望が開ける場所にて深呼吸。
ぷっくりとしたシラタマノキ。
そろそろ烏帽子小屋かな?という場所で上から元気一杯の英語が聞こえてくる。
「はっ、このエリアでトレーニングされてるお方はもしかして…」とお顔を拝見すると予想通りあのhanameizan さんだった。
去年も三俣山荘で偶然お会いし楽しい一夜を過ごさせて頂き、またお会いできたことがとても嬉しくて。
「あっ!hanameizan さんですよね?」
「ええっ!sion さん??」
Rさんというパートナーさんとご一緒。
新鮮なブルーベリー(のような実)を「食べる?」と手のひら一杯頂きました。
とても甘くて美味しかった♪ありがとうございます!
「また来年会ったりして(笑)」
「本当ですね、ではお気をつけて~」
いやいや、こんなことってあるんですね。
相変わらずの急登も俄然元気が出てきた。
お二人とも競輪選手のようなおみ足。
トレーニングの賜物ですね!
可愛いピンクのシラタマノキ。
人の声が聞こえるからもうすぐ小屋かな。
イワギキョウがいっぱい。
烏帽子小屋より烏帽子岳
やっと烏帽子小屋に着いた。
“私はコマクサ”
私たちは砂礫地にながい根をのばします。
まわりをふみつけたりとられたりするとここに住めなくなります。
コマクサのすみ家に立入らないでください。
目の前に広がる絶景に息を飲む。
一際目立っているのは赤牛岳か。
カッコイイ!
[烏帽子小屋]
http://home.384.jp/eboshi2628vera/
イワギキョウ咲き乱れるお花畑前のベンチにておにぎりランチ。
小屋前にザックをデポして烏帽子岳へ。
白い砂地とグレーの岩山が燕岳を連想させる。
あのピークは前烏帽子。
烏帽子への道。
鋭く尖った岩峰が目の前に。
岩場にひっそりと咲くイワツメクサ。
[烏帽子岳分岐]
いつか船窪小屋へ。。。
[烏帽子岳山頂]
前方から見るととても登れそうにないけれど、右側から廻り込む形で登頂を果たした。
ジョーズ岩?
烏帽子山頂からの展望。
お天気が怪しい…。
烏帽子岳山頂標。
黄葉を愛でながらの下り。
ウラシマツツジが赤く染まる。
デポしたザックただいま。
遥かなる野口五郎小屋
これから本日の宿泊地を目指すがこれが想像よりも遠かった。
烏帽子小屋のイワギキョウにお別れを。
[烏帽子小屋テン場]
とてもいい雰囲気~~。
ミヤマキンバイ(深山金梅)
高山の岩場や礫地に生える多年草。
9月半ばにしては新鮮な個体。
可愛いミヤマママコナに立ち止まる。
アオノツガザクラ、まだ沢山咲いていてビックリ。
抹茶ミルクみたいなグリーンの高瀬湖。
三ッ岳を望む。
烏帽子を振り返る。
三ッ岳への登りの途中に雨が降り出しその後強まったり止んだり。
稜線では風も出てきて横殴りの雨に。
[分岐と三ツ岳山頂]
これは小雨になった頃かな。
目の前に数名のパーティーが歩いている。
たったそれだけでとても心強い。
あのピークを越えたらきっと、、、
でも小屋ではなく潅木の一部だったり…という苦い思いを何度か繰り返しながら歩き続ける。
グロッキーを通り越し、濡れ鼠のゾンビ状態(笑)
[野口五郎小屋]
やっと青い建物が見えた時は、心底ホッとして涙が出た。
前を歩いておられた5人組さんもちょうど到着された直後で「わぁ、お疲れさま!」「よくお一人で…」と労ってくださる。
女将さんも温かく迎えてくださり助かりました。
温かい夕食がとてもありがたい。。。
周囲の方たちとお話しながら楽しいひととき。
そして夕食後は、天気予報をチェックし数人に明日の予定を尋ねてみたりする。
雨の中、三俣山荘への縦走はキツイだろう。
展望のない鷲羽に無理して登ることはない。
野望敗れたり…
夜中は更に風雨が強まったようでその音で23時にパッと目が覚める。
何度か二度寝を繰り返すともう朝。
空は明るくなっても雨は少し弱まった程度。
翌朝5:44時点の空模様。
5人組のリーダーさんに呼び止められ「我々は時間がかかる湯俣に下りるのは止めてピストンで高瀬ダムに戻ることにします。来た道を戻る方が速いよと言われましたんで」
公共交通機関で帰るにはそれがベストだと私もそうすることにした。
アドバイスありがとうございます。
ピストンは嫌いだけど、今日は素直に来た道を戻ることにしよう。
7時まで待機し雨脚が弱まったところで女将さんにお礼を言って宿を出る。
この時点では野口五郎岳の登頂など全く眼中になく、小屋でお話した5人組が雨の中を登頂してから下山したことを後から知った。
三ッ岳を通過。
烏帽子小屋もスルー。。。
ただ無事に下山できればそれでいい。
待ち構えていた核心部
昨日と違って下山は嘘のように楽だった。
朝食をきちんと食べたし身が軽い。
休憩もせずそのままブナ立尾根を下りて行くとドドドドーッと物凄い音が聞こえる。
濁流だろうと想像はつくが、橋は大丈夫かな。。。
一抹の不安を胸に「もうすぐ12番」と喜んでいた時、後方から単独男性がやってきた。
[裏銀座登山口・ブナ立尾根取付]
挨拶を交わし、タクシーの相乗りを提案されたので即同意して一緒に下る。
私の後方には誰もいなかったのにずいぶん速いなぁと不思議に思い尋ねると、何と野口五郎小屋を8:30に出たと言うではないか。
私より1時間半も遅いスタートでもう登山口に!?
しかも、何度かレコを拝見しているkitainotori さんと判明。
やがて、例の橋がないことに気づく。
橋があった場所は、濁流がゴォーゴォーと流れ渡渉などとても無理だ。
「そういう時は下流に行けばいいとヤマレコで見た」
kさんは、ダム近くの下流まで渡渉可能地点を探しに行かれる。
一生懸命に後を追うがふくらはぎまで砂に潜ってしまい、足が抜けずにズブズブ沈んで上手く歩けない。
飛び石に乗ってもすぐ脇の砂地が液状化しているようで、バランスを崩し何度か転倒した時点で正直「これはヤバイかも。。。」と思った。
今迄の人生でこんな経験はしたことがない。まるで蟻地獄。。。
やっとkitainotori さんのいる下流へ辿り着く。
そこはいくぶん濁流が細くなっている。
私の到着を待って「ここからは二人で」とのお言葉。
そして安全な渡渉の仕方をアドバイスしてくださる。
「身体は流れに対面する形でカニ歩きの要領で。一度転ぶと体勢を戻せないので焦らずゆっくりと。汚れるとかはもう気にせずに」とご自分のWストックを貸してくださった。
(既に手足共、かなり汚れてしまっていた)
何とか無事に対岸まで渡渉することができたのは、冷静に判断して的確なアドバイスをくださったkitainotori さんのお陰です。
もし一人だったら渡渉できなかったと思います。
私にとっては、お互いが小屋を出た1時間半という時間差が重大な意味を持っていたと、直後に痛感したのは言うまでもない。
それより早くても遅くても、ここで出会うはずがないから。
天が遣わしてくださった天使としか思えない。
私は本当に人に恵まれている。
色々とありがとうございました!!
またどこかのお山でお会いしましょう!
濁流を何とか一緒に渡渉し無事下山。
橋があれば10分で着くところ、1時間以上もかかっている。
これ以前の画像は撮ろうとも思わなかったし、実際にそんな状況ではなかった。
『真の男らしさとは何か。。。』を彼に見せてもらった気がする。
奇遇にも1年後、kitainotori さんとバッタリ再会した記録はこちら↓↓↓
[黒部観光ホテル・日帰り温泉]
七倉山荘から大町温泉郷まで送ってくださりkitainotori さん一押しの黒部観光ホテルへ。
とても綺麗で落ち着くお風呂でした♪
「山登りの方ですか?」と声をかけてくださりヤクルトまでくれたオバサマ、ありがとうございます。
鮮やかな色彩に思わず立ち止まる。
路線バス待ち中にくるみゆべし。
[信濃大町駅]
そういえば、お昼まだだった。
立ち食いの山菜蕎麦。
松本駅構内の地鶏弁当、あずさ車内にていただきまーす!
無事でホッとしたのか食べてばかり(笑)
最後に
それにしても、裏銀座は奥が深い。
同じルートで来年リトライするかどうかそう簡単には即答できない。(;^_^A
更なる経験が必要なのだろうと、それだけははっきり自覚できた。
私を取り巻く全ての巡り合わせに感謝☆
この世の全ては、素敵な一期一会。
今日も来てよかった♪
天とお山にありがとう!
<備忘録>
プラティパス水 2L
アクエリ 500ml
山専お湯 500ml
豆乳飲料 200×2(持ち帰り)
野菜ジュース 930g(持ち帰り)
ガッツギア 250g(持ち帰り)
※全て2016年9月の情報ですのでご了承ください