長年の憧れだった餓鬼岳。
早朝に中房温泉をスタートして噂通りの悪路を登り、グロッキーになりながらやっと餓鬼岳小屋に辿り着く。
かなりハードだったけれど念願のシラヒゲソウにも逢え、大満足の2日間となりました!
ヤマレコで特に人気の高かった自己ランキング第2位の過去レコで、自分の中でも大変思い出深い山行になります。
これから登ってみたいと思っているかたの参考になれば幸いです。
ただし、東沢乗越までのルートに関してはくれぐれもご注意ください。
もくじ
往復のアクセス
[往路]
23:00 竹橋より毎日あるぺん号 → 05:50 中房温泉登山口(9800円)
https://www.maitabi.jp/parts/detail.php?t_type=&course_no=10237
[復路]
15:48 大町温泉郷BSよりバス → 16:02 信濃大町(530円)
16:33 信濃大町より大糸線(発)
http://www.alpico.co.jp/access/hakuba/ogizawa/
自己CT
[1日目]
06:20 中房温泉登山口
06:24 中房温泉旅館 06:26
08:10 奥馬羅尾沢出合
10:54 東沢乗越
11:56 東沢岳 12:04
15:47 餓鬼岳小屋 16:09
16:16 餓鬼岳 16:23
16:32 餓鬼岳小屋
[2日目]
05:45 餓鬼岳小屋
05:50 餓鬼岳 05:53
05:57 餓鬼岳小屋 05:58
07:45 大凪山
09:00 最終水場 09:12
10:56 白沢登山口 10:57
13:48 大町温泉郷・薬師の湯
中房温泉にて出鼻をくじかれる
竹橋23:00発の毎日あるぺん号に乗り、翌朝5:50に中房温泉登山口へ到着。
大勢のハイカーでごった返す中、登山届を出してトイレを済ませベンチでいなり寿司の朝食。
東沢登山口が少しわかり難いため周辺をウロウロしていると、中房温泉のご主人が宿の中から怪訝そうな面持ちで私を見ている。
「餓鬼岳はこちらからですか?」と尋ねると、そうですと仰り「ビバークするためのツェルト等はお持ちですか?」いきなり聞かれて面食らった。
更に追い打ちをかけるように「(赤テープや目印は)ありません」「行方不明者が何人か出ているんです。どうしても駄目だと思ったら必ず戻って下さい」「実際、何人かは戻ってきています」とのお言葉。
ヒィーーー!やっぱり噂通りだ。(◎_◎;)
そこで、賢そうなコリー犬が寄ってきたので思わず頭をなでなで。可愛い~(*^^*)
ご主人の神妙な表情が焼き付いている。
普通の女性ならここで諦めるのかもしれないけれど。。。(笑)
「私は絶対、行方不明になんかならないぞ!」「でも本当に駄目だったら素直に戻ろう」そんな気持ちが交錯する。
行方不明者続出のマイナールートで東沢乗越へ
未知のルートを歩いてみたい。
それが私のモチベーションに繋がっている。
登らずして撤退という選択肢はない。
ちょっと心細いけど、この橋を渡るとワクワクしてくる。
ひとけはないものの、最初は判りやすい細い道。
次第に藪が広がり踏み跡も薄くなるが何とか突破。
思わずハッとするような素敵な沢沿いの道。
くるりん♪淡い紫のクサボタン。
倒木を越えて進むがこちらは間違い。
広い沢の真ん中に○印の木がある場所で間違って右手に行き沢を詰める形となり、うーんこれは違うな…と感じて元に戻る。
間違った道で見つけたタマガワホトトギス。
○印の木を越えてすぐ左手に渡渉し、樹林帯の赤テープに従うのが正解。
序盤の堰堤は、向かって右側(左岸)から越える。
崩れている箇所もあるので慎重に。
左岸から右岸へ渡るところで小休止。
滝みたいな所は通らず、左手に細い登山道が続いているのでそちらへ。
ひと夏の一期一会。
小さな沢を渡渉し赤テープがあったのでそこから樹林帯に入ろうとしたら、背丈以上の藪と巨大な倒木で進退窮まる。
どうにもならず元に戻ることに。
赤テープのあるここから沢沿いに直進でOKだった。
ルートミスしかけたのは、この2回のみ。
ふー。
ヨツバヒヨドリの蜜を吸うヒョウモンチョウ。
正規の登山道には必ず踏み跡があり、元に戻って見渡せば必ず手掛かりが見つかる。
赤テープや○印は確かに少ないけれど、最小限ついているので見逃さずに。
小さな渡渉は数回ある。
刈り払いされていない笹薮が登山道を隠し、足幅が狭く片側は切れ落ちているのでここで滑落したら行方不明になるだろうなぁ…という場所が何箇所もあったりする。
この登山道の管轄は燕山荘らしいが、ほとんど整備はされていない。
ヒメシャジン?ツリガネニンジン?
おっと、ヒメアカバナも見逃さないよ。
長くて遠い餓鬼岳小屋
ヘロヘロになりながら、やっと着いた東沢乗越。
東沢乗越まで登ってしまえば、そこからの尾根上で迷うような箇所はない。
但し、見通しが悪い笹薮は相変わらず多い。
跨げない高さの倒木は下から潜って通過した。
周囲に人はいないので黙々と歩くのみ。これがとにかく長い。
しかも、結構アップダウンもあったりしていつになったら着くの~~と挫けそうになる。
オヤマノリンドウがあちらこちらに。
標高が上がるにつれ、広がる景観。
「おぉっ!」とか「わお!」とか、ひとりでうるさい(笑)
岩場を登るとそこが東沢岳。
とても見晴らしがよく気分爽快。
ここでひとまずランチ休憩。
でも、遠くに見えるピークまではまだまだありそうだ。
剣ズリと呼ばれる険しい岩稜帯。
まだまだ先は長そう…。
オノエランのミニチュアみたいな、ヒメミヤマウズラを発見。
タケシマランの赤い実がぶら~ん。
心を無にして淡々と歩いてはいるが、もう疲れ切って半分ゾンビ状態。。。
目の先にオレンジ色の物体が見えた時は思わず声が出た。
「あれってテントだよね?」
ゾンビが人間に戻った瞬間。
本来のテン場はここより一段下の狭い窪地(当日は4張ほど設営あり)
ここはテント禁止エリアです
温かいおもてなしと美味しいごはん
やった!!憧れの餓鬼岳小屋。
気さくな親父さんが笑顔で迎えてくださったので、今朝からの顛末をお話すると笑われてしまった。
今までの疲れが吹き飛んでしまうような温かいおもてなし。
また、色々なハイカーさんとお話ししてとても楽しいひとときを過ごした。
ありがとうございます!
これが見たかった。
[餓鬼岳小屋]
1泊2食 9500円
噂通りご飯が美味しい!
水:500ml 100円(天水を消毒したもの)
トイレ:ペーパーなし要持参(ゴミ箱あり)、土足厳禁
いわゆるボットンタイプだが綺麗に掃除されている
ドコモ電波:4本立って普通に繋がった
(天気予報の確認後は機内モードに戻す)
【信濃大町なび 山小屋のご案内】
http://www.kanko-omachi.gr.jp/mountain/lodge.php
屋外のベンチでスイーツタイム。
バーナーでお湯を沸かしアップルパイ休憩をしていると、お隣の女性達に話しかけられる。
女ひとりでここまで来たことを大変驚かれてしまう。
「出世欲とか全然ないのに山に関しては野望が渦巻いて、行きたいと思ったら抑えられないんです」
「わかる!確かにそういう時期はあるわね!」
笑いながら同意してくださった。(^^ゞ
ひっそりと咲くコマクサに大感激!
とても輝いて見える。
残っていてくれてありがとう♡
本当に5分で着いた。
誰もおらず静かで落ち着く山頂は360度の大展望。
キツくて遠かったけど…。
本当に来てよかった。
楽しみにしていた夕食は、炊き込みご飯とおでんにひじき煮物。
グレープフルーツも嬉しい。
夕陽に染まる餓鬼岳と小屋。
ベンチで山談義したご夫婦。
高天原へ縦走したことがあるそうで、いつか私も行きたいんですと話したっけ。
皆が外に出て空を眺めている。
皆で協力して布団を敷き、まったりタイム。
ひっそりと咲くシラヒゲソウとの出逢い
素晴らしい朝焼けで始まる素敵な一日。
シンプルだけど美味しい朝ごはん。
手作りで満足度が高い。
ストーブの側で餓鬼岳怪談七不思議を読む。
再度、餓鬼岳に登頂してから下山することに。
よく歩いてきたなぁ…と自分でも思う。
光と影、そして静寂のシンフォニー。
東沢乗越への荒れた道に比べたら、特に小屋の近くは遥かに歩き易い。
笹がきちんと刈り払いされているせいもあるだろう。
オオヒョウタンボクの赤い実(有毒)がびっしり。
大凪山は樹林帯のなか。
中盤で岩ゴロゴロ、ザレザレの急傾斜がありとても滑り易く気を遣った。
こちらが最終水場の橋。
最終水場より下部は沢沿いに歩くが、岩が濡れているため慎重に。
魚止ノ滝まで下りてくると。。。
徐々に花数が増えて。
こんな群生に出会うようになる。
もう何度立ち止まっただろう。
蕾もたくさんありまだまだ楽しめそうだ。
足幅は狭いけど、ロープや鎖があるので大丈夫。
白沢登山口から薬師の湯まで歩く
餓鬼岳小屋にて無線で連絡してもらえば白沢登山口からタクシーに乗ることができる。
ただ、初めて歩く場所でありお花を観賞する時間も考えると、下山時間の確定は難しいと判断し頼むのはやめた。
実際、地図のCTよりも時間がかかるハイカーさんが多く、タクシーの待機時間分も料金に加算されるという情報もあり、急いで下りて怪我などするのは避けたかったので正解だったと思う。
道端のゲンノショウコが可愛すぎる。
駅まで歩いたとしても昼の時間帯は電車がないのだ。
どこかでタクシーを捕まえようかと思いながら、結局は歩いてしまった。(^^ゞ
青空に映えるサルスベリの花。
白沢登山口から大町温泉郷まで、徒歩3時間。
露天風呂がすごくいい。
こちらの岩風呂の雰囲気がとてもよかった。
ダムカレーは売り切れで仕方なくざるそばにして、デザートは新発売の雷鳥アイス。
[薬師の湯]
7:00~21:00(夏季)
餓鬼岳小屋の割引券にて700円 → 500円
徒歩で大町温泉郷まで歩くハイカーさんはいないと思うけれど。
炎天下での徒歩はオススメしないことを念のため申し添えておく。(^^ゞ
最後に
“よくきた 餓鬼岳”
花束を差し出す邪悪そうな餓鬼を見たくて「いつか行かなくちゃ」と思っていた山。
(仏教でいうところの餓鬼はあまりいい境涯ではないけれども)
予約の電話をした際に私のことを知らないはずの女将さんが「あなたなら大丈夫!」と仰る。
「どうしてそんなことが解るのですか?(^^;」
「山に慣れている人じゃないと乗越からの道は歩かないから…」
そのお言葉が励みになったのは確か。
できればコマクサの咲く時期に燕岳からテントで縦走したいな~なぁんて考えていたが。
既にそんな思いは打ち砕かれている(笑)
アットホームな小屋に、いつかまたお邪魔できる日がくるだろうか。。。
渋い餓鬼岳バッヂは宝物だね。