登山を始めてから長い間、憧憬の対象であった剱岳。
数年前より計画はしていたものの台風や暴風雨など悪天候にて断念。
「今年も登れなかったな…」という無念の気持ちでいつも夏を終えていた。
前月に申請しておいた2連休が1日追加されて3連休になっているシフト勤務表を見て、これは山の神の思し召しだと確信。
(今回の転職先もカレンダー通りの休みはなく、他スタッフとの勤務調整は全て上司が行う)
剱岳にチャレンジする心の準備はできている。あとは天気次第。
立山三山は過去に縦走したことがあり、剱岳一本に絞りこんでみた。
往復のアクセス
[往路]
22:25 バスタ新宿より夜行バス
05:16 富山駅前(8400円)
06:12 電鉄富山より富山地方鉄道立山線
07:20 立山
08:10 立山駅より立山黒部アルペンルート
09:10 室堂(扇沢行き8290円)
●池袋・新宿~富山・高岡・氷見線
●立山黒部アルペンルート
https://www.alpen-route.com/index.php
※アルペンルートのweb割引券は事前に売り切れで当日券のみ販売。
大混雑で長蛇の列ができている立山駅でチケット購入のため並び、更に改札前で並んだので乗車が8:10となった。
空いている時期ならもっとスムーズに乗れる。
[復路]
10:45 室堂より立山黒部アルペンルート
12:17 扇沢
12:30 扇沢より路線バス
12:58 信濃大町(現金払のみ 1360円)
13:01 信濃大町よりJR大糸線
14:01 松本(670円)
15:13 松本より信州かいじ54号(臨時便)
●扇沢~信濃大町
http://www.alpico.co.jp/access/hakuba/ogizawa/
※信濃大町に到着時あと3分しかなく、駅員さんの誘導により切符を買わず松本で乗り越し清算という形にさせて頂く。
また、松本でスーパーあずさの指定席を確保するため4本遅い便を選んだ。
立ち覚悟ならばもっと早いあずさもあり。
現在、自由席がないのでたとえ席がなくとも指定席料金を取られるのは納得いかないでしょ?
自己CT
[1日目]
09:45 室堂(立山王殿の湧水)
09:55 みくりが池
10:05 血の池
10:15 雷鳥荘
10:30 雷鳥沢キャンプ場
10:33 橋
10:36 ゴゼン分岐
13:12 剱御前小舎
13:57 剱沢キャンプ場
[2日目]
05:05 剱沢キャンプ場
05:35 剣山荘
05:49 鎖場1
06:58 鎖場4
07:12 アルミ橋
08:15 鎖場7
09:19 鎖場9(カニのタテバイ)
09:54 早月尾根分岐
10:00 剱岳 10:30
11:05 鎖場10(カニのヨコバイ)
11:13 アルミ梯子
11:17 携帯トイレ使用場所
11:21 鎖場11
13:00 一服剱
13:23 剣山荘 13:53
14:28 剱沢小屋 14:30
14:45 剱沢キャンプ場
[3日目]
05:53 剱沢キャンプ場
06:59 別山方面分岐(途中から間違って登ってしまう)
07:16 剱御前小舎
08:27 橋
08:30 雷鳥沢キャンプ場
08:57 雷鳥荘
09:10 血の池
09:20 みくりが池温泉 10:06
10:20 室堂
うわっ、富山行き夜行バスがない
やはり今回も天気予報をギリギリまで見ていて、いざ夜行バスを予約しようと思ったら13日(金)の設定がない。
そういえば、世間はシルバーウィーク。
早くから予約している人が大勢いたのだろう。
土曜の朝に都心を出発したのでは室堂入りが遅くなるので、選択肢は前日の夜行バスしかない。
もっと早くに検索しておくんだった。
いつも利用しているバス比較サイトで検索するが、どこもヒットせず。
唯一、残っているのは高額の毎日あるぺん号だけ。
毎年値上げしているのは知っていたけど、室堂直通とはいえぼったくりに近い金額…(笑)
これは困った!
夜行がないなら剱岳は諦めて、近くのエリアでゆるキャンにしようか。。。そう思いながらも根気強く調べていくと。
バス比較サイトには載っていない、富山地方鉄道の夜行バスが一件だけみつかる。
残は3席、すぐさま発車オーライネットで予約。
間一髪でセーフ。
ありがとう!富山地方鉄道さん。
出発当日の夜、最寄り駅で「山ですか?」声をかけてきたサラリーマンがいた。
エレベーターでは間に合わないと階段を駆け上がったのだが、結局間に合わずホームでその酔っ払いさんと再会。
しかも、さっきのことを仲間5人に大声で話している。
「山登りの女の人が下にいたんだよ、ヘルメットとかめちゃくちゃ重装備でさ」「へぇ~こんな夜から山登るの?」「ここで会ったのも何かの縁だよね」等々。。。(;^_^A
そこで「私ですかね?」と思い切って声をかけると、仲間の酔っ払い軍団からも色々と質問をされて見知らぬ人達としばし山談義(笑)。
「えっ剱岳登るんですかっ!」「こいつ、山に関しては何故か突っ込みたがるんですよ」「ごめんなさいね~酔っぱらってるもんで」
ザックを背負っていると知らない人から話しかけられることが多いけれど、電車に遅れて焦っているのにもかかわらず楽しいひとときだった。
因みに、バスタ新宿に到着したのは発車ギリギリ3分前。(^^ゞ
バスは独立した3列で仕切りカーテンとブランケット、コンセントがあり、中央にトイレが設置されている。
夜行バスにしてはまぁまぁ快適に眠れた。
やはり3列はいいね。
早朝5時すぎ富山駅に到着し、構内ベンチで持参した朝食を。
富山駅から徒歩1~2分で電鉄富山駅。
富山地方鉄道立山線の車内。
自販機とゴミ箱がある。
ガタンゴトン…。
楽しいローカル線の旅。
とても素敵な剱沢キャンプ場
30分並んでやっと当日券を購入できたが、改札前にてまた並ぶ。
室堂にて山岳情報をチェック。
立山黒部アルペンルートはどこも大混雑で待ち時間が多くかかってしまった。
好天のシルバーウィークだから無理もない。
室堂で準備をし、立山の美味しい水を多めに汲んで出発。
淡いピンクのシラタマノキ。
冬に泊まった雷鳥荘。
【雷鳥荘】
途中の雷鳥沢キャンプ場にも、色とりどりのテントが張られとても賑わっている。
ここで盗難事件があったなんて信じられない。
つづら折れの雷鳥坂を登るのがとてもきつく何度も立ち止まる。
吹いてくる風は涼しいけれど、肩の荷が重い。
今日はシュラフを入れてきたので13kg以上はあるだろうか。
急坂を登り、やっと剱御前小舎。
何人にも抜かされるけど構わない。
憧れの剱沢キャンプ場を思い浮かべ、自分のペースでゆっくり歩こう。
剱御前小舎まで登ればあとは下るだけ。
【剱御前小舎】
https://www.tsurugigozengoya.net/
目の前に剱岳が現れて感激する。
そして、キャンプ場が見えただけでもこんなに嬉しい。
色とりどりのテントの花が。
既に沢山のテントが張られている中、快適そうなスペースを見つけてササッと設営。
剱岳が目の前という好立地。
テント受付はこちら。
診療所と富山県警察上市警察署 剱沢警備派出所が併設されている。
左がボットントイレ(未確認)、右がバイオトイレ(ペーパーあり)
テントから見える景色がこれって最高ニャ!(=^・^=)
こんな天気のいい日に来られてよかった!
いや~もう、テントから見える景色がとても贅沢。
幸せを感じてひとりでニヤニヤしてしまう。
ここに張れただけで満足だわー。
そして、剱岳を見ながらウトウト。。。テントから足だけ出して。。(^^ゞ
15:30くらいだったかな、辺りはガスで真っ白になったがそれでもワクワクしっぱなし。
夕食はメニュー変更して、越中境PAで買った鱒寿司と牛とじ丼(アマノフーズ)に。
ミスマッチだけどまぁいいや。
明日の剱岳に想いを馳せながら夕食を食べると、フライのジッパーを開けたままいつの間にか寝てしまっていた。
23時頃に目が覚めてトイレに行った時、空には満天の星が輝いていた。
【剱沢キャンプ場】
1人 500円
水場 2箇所(消毒済み・非消毒)
トイレ 2箇所(バイオ・ボットン)
https://www.info-toyama.com/spot/31034/
大快晴の剱岳
チキンフィレ、レーズンとくるみのパン、カフェオレの朝食。
では、行ってきまーす!
最初から2連泊する予定だったので、出発は遅めでいいかと5時にした。
もう少し早く出ていれば渋滞はマシだったかな。
剣山荘をちょこっと覗いてみる。
帰りに寄る予定。
【剣山荘】
剣山荘を出た直後にご来光。
おおっ!目の前にドーンと剱岳。
まずは一服剱を目指して。
朝陽を浴びるイワツメクサ。
序盤は鎖を使わず。
ネットで見たアルミの橋だー。
こんな何でもない鎖場で何度もカラビナを掛け替え、セルフビレイする女性が目の前にいて辟易した。
既に大渋滞が始まっている。
ここで結構な時間を費やす。
渋滞していた鎖場を登ったら、ここを下りる。
こちら側も大混雑。
足場が狭い登山道でのすれ違い待機もある。
まぁ、予想通りに所々渋滞していて、カニのタテバイ手前で長蛇の列。
取りつきまでの待ち時間は1時間以上。
そういえば、この時ずるいカップルがいたのを思い出した。
左側の岩場に登って待機しているフリをして、男主導で「すいませんすいません」と言いながら元いた場所からかなり前に並び直す。
みんな並んでいるのに、そんな姑息な手を使うってどうなの?
こんな男が自分の夫とか彼氏だったら私は嫌だわ。
岩の間に終盤のミヤマダイモンジソウ。
高い所にポツリと一輪チシマギキョウ。
このチシマギキョウ、渋滞がなければ気づかなかったかも。
やっと、カニのタテバイ取りつき手前まで。
この時間に下山してくる人達は3:30頃出発したらしく、「あぁーよかった!早く出発して」などとこれ見よがしに言っているのが聞こえる。
カニのタテバイの上部で1箇所だけ足をかけるスタンスがわからず一瞬とまどったが、下から続々と登山者が続いているので迷ってる時間などない。
微かな岩の出っ張りにつま先をかけて鎖を信じてエイッと登る。
ここを登れば剱岳山頂だ。
いよいよ渋滞が解消され山頂が近づいてきた時。
私がヒィヒィ登っていたら「あともう少し!ガンバー」と低い声で励ましてくださった男性、ありがとうございました。
山ではこんなちょっとした一言に励まされることが多々ある。(#^.^#)
約1年前に買っておいたスポルティバトランゴ S EVO GTXと一緒に登頂♪
いわゆる型落ちだけれど、靴づれはなく岩場を快適に歩くことができた。
ただし、やや細身であるため甲高幅広の人には合わないかもしれない。
大快晴の剱岳山頂は大混雑していた。
祠前の写真撮影待ちが10人くらい並んでいたので最後尾に加わり、撮影をして頂いてから休憩することに。
雲海を見下ろす。
あちらはバリルート。
しまった!
こんなに時間がかかると思ってなかったので、持参したのはキャラメルと水だけ。
昨夜の鱒のすしを食べずに山頂ランチにすればよかったな。
祠横の突起岩でも撮影している人がいるけど、ちょっと恥ずかしくて並ぶのはやめた。
ひっそりと三角点。
バリルート方面から来る人達。
絶景を眺めている間に続々と登頂者が増え、撮影待ちの列も伸びてきた。
狭い山頂は人でごった返している。
下山を開始した際にちょうど登ってきたカップルの男性。
「あぁぁもう俺、泣きそうだよう…ありがとうありがとう、太陽さんありがとう、〇〇さんありがとう」とかずっと言っていたのがメチャ可笑しかった。(≧▽≦)
その気持ちよくわかるわ。
渋滞で待機している時しか撮影はできない。
下山時のヨコバイは足の置場が見えにくいと聞いていたが、ちゃんと赤マークがついていてそれを全部目視できる状態にあった。
よほど鎖にしがみついたりしなければ見えるはず。
しかも、先行者が「ここに足を置いてください」と教えてくださったおかげで思ったよりも難しくなく正直なところ拍子抜けした。
落石しながらどこへ行くのか、不思議な3人組。
「剣山荘でカレー、剣山荘でカレー、あとは冷たい飲み物」
頭の中はもうこれだけ。(^-^;
撮らずにいられない。
一服剱を下り始めて振り返る。
おぉっ、剣山荘が見えてきた。
やっと食べ物にありつける。
【剣山荘】
剣山荘で美味しいカレーと冷たいアクエリをゲット。
カレー1000円、アクエリ500円、バッヂ500円。
外が暑かったので食堂で食べることにしたら、とても綺麗な山荘だった。
シャワーもあるらしく、いつかここに泊まってみたいと思う気持ちもあるが、また来ることができるだろうか?
お腹が満たされたのでキャンプ場へ戻ろう。
ナナカマドの上に剣山荘の屋根がチラリ。
草紅葉と池塘がいい感じ。
それにしてもいい天気だな~。
咲き残りのミヤマキンバイ。
ミヤマリンドウ可愛いね。
きらめくチングルマ果穂。
あそこに寄ってみよ。
冷たい飲み物が足らず剱沢小屋でも購入しようと向かってみると、「今日は宿泊者の方だけに販売」と聞いてトボトボとキャンプ場に戻る。
昨日はここでビール等買えたはずなんだけど…(冷えた缶を持っている人とすれ違った)
混雑具合によっては、飲み物は宿泊者にしか売れない日があるようだ
【剱沢小屋】
http://ww3.ctt.ne.jp/~tsurugis/
無事、剱沢キャンプ場に戻ってきた。
おつかれ~!
管理事務所の近くにある消毒済みという水場で水を汲んだら、これが冷たくてとても美味しかった。
テント受付の際、お兄さんに煮沸してねと説明されたけど私は大丈夫だった。
山でそのまま飲める水場の水、実にありがたい。
チャプチェを食べてもう一泊
もう一泊するので、慌てて帰らなくていいってすごく楽。
登頂後は、素足になって石の上に靴下を干しながら暫く外にいた。
陽射しはあるけど涼しい風が気持ちいい。
テント泊ならではの自由な時間。
9/15の夕方は前日のようなガスガスにはならず、剱岳の下部に雲がかかっただけ。
ここに連泊できる幸せを噛みしめながら、剱岳を眺めたり音楽を聴いたり。
明日の行程を確認していたらまた眠くなってお昼寝。
はぁ~しあわせ~~。
18時を過ぎたのでそろそろ夕食の準備。
2日目夕食はチャプチェ。
持参したベーコンとピーマンで簡単に作れるチャプチェ、わかめスープの夕食。
本当は1日目にこれを作る予定だったけど、鱒のすしがあったのでメニューを変更した。
2日目夜はダウンジャケットは不要なくらい暖かく、シュラフだけで充分眠れた。
晴れてさえいれば、9月は雪渓もなくなり登頂するには最適なのかもしれない。
簡単な朝食を摂りテントを撤収。
キャンプ場を何度も振り返りながら、名残惜しくて涙がこみ上げてきたのには自分でも驚いた。
岩の陰で実になりかけているクモマグサを発見し、とても感激してしまう。
剱沢キャンプ場を振り返る。
ラジオ体操の音楽が聞こえ、皆が体操しているのも見える。
途中の分岐で道を間違え、別山方面の急登を上がってしまった。
さっきから感じてた違和感の正体はこれか…(笑)。
剱御前小舎まで少し遠回りをしたことになる。(=_=)
雷鳥坂のミヤマキンバイ。
眼下に雷鳥沢キャンプ場。
この階段が地味に苦行。
もう秋だね、血の池に広がる草紅葉。
早速、温泉に入るつもりが…。
ひとつ残念だったのは、みくりが池温泉が大混雑で入れなかったこと。
9時前から大勢並んでいたらしく整理券の番号順となるので、次に入れるのは10時以降と言われた。
そこで温泉はあっさり諦めランチに切り替える。
【みくりが池温泉】
http://www.mikuri.com/index.html
*みくりが池温泉ランチ*
エンマ様のホットピザ(820円)
ブルーベリーソフトミックス(350円)
自販機のピンクグレープフルーツジュース(150円)
以前から食べてみたかった“エンマ様のホットピザ”とブルーベリーソフトをゲットして満足満足。
奥大日の景観を眺めながら食べるピザは美味しかったわー♪
去年の晩秋、奥大日に登ったね。
室堂周辺にはウメバチソウがいっぱい咲いてた。
黒部ダムにかかる虹☆彡
最後に
剱岳を下山してから知った、19歳の女性が滑落して亡くなるという痛ましい事故について、まずはお悔みを申し上げます。
某SNSにて、16時にカニのヨコバイを逆走してきた彼女を注意したガイドや登山者に対し、なぜ登頂を止めてあげなかったのか?とまるで責めるような書き込みを見かけて驚いた。
いやいやそれは違うでしょ。
止めなかった他人や家族のせいではない。
諸々の言葉を無視し続けてきた彼女自身の問題であり、他人に責任はない。
彼女の持つバックグラウンドをネットで読むにつけ疑問に思うことが多々あり、そのような背景を考えると何だか心がザワザワしてしまう。
雑誌やテレビ、またSNS等で紹介されることも多い山の情報。それをどう受け止めて取捨選択するのか。
特に剱岳については、単なる思いつきや衝動的な感情で登る山ではないと感じる。
少なくとも乗鞍の次にトライする山ではない。
また、日帰りできること=登山に於けるステータスみたいな風潮が一部にあるけれど、そんな情報に惑わされるのはナンセンス。
人と比べることなく、自分なりに山を楽しむ方法はいくらでもあるのだから。