登山

“よくきた☆餓鬼岳”悪路を乗り越え辿り着いた小屋とシラヒゲソウ(中房温泉~東沢乗越~白沢) 2018/8/19(日)~20(月)

長年の憧れだった餓鬼岳。

早朝に中房温泉をスタートして噂通りの悪路を登り、グロッキーになりながらやっと餓鬼岳小屋に辿り着く。

かなりハードだったけれど念願のシラヒゲソウにも逢え、大満足の2日間となりました!

ヤマレコで特に人気の高かった自己ランキング第2位の過去レコで、自分の中でも大変思い出深い山行になります。

これから登ってみたいと思っているかたの参考になれば幸いです。

ただし、東沢乗越までのルートに関してはくれぐれもご注意ください。

 

往復のアクセス

 

[往路]
23:00 竹橋より毎日あるぺん号 → 05:50 中房温泉登山口(9800円)

https://www.maitabi.jp/parts/detail.php?t_type=&course_no=10237

[復路]
15:48 大町温泉郷BSよりバス → 16:02 信濃大町(530円)
16:33 信濃大町より大糸線(発)

http://www.alpico.co.jp/access/hakuba/ogizawa/

 

自己CT

 

[1日目]

06:20 中房温泉登山口

06:24 中房温泉旅館 06:26

08:10 奥馬羅尾沢出合

10:54 東沢乗越

11:56 東沢岳 12:04

15:47 餓鬼岳小屋 16:09

16:16 餓鬼岳 16:23

16:32 餓鬼岳小屋

 

[2日目]

05:45 餓鬼岳小屋

05:50 餓鬼岳 05:53

05:57 餓鬼岳小屋 05:58

07:45 大凪山

09:00 最終水場 09:12

10:56 白沢登山口 10:57

13:48 大町温泉郷・薬師の湯

 

中房温泉にて出鼻をくじかれる

 

 

中房温泉登山口は大混雑

 

竹橋23:00発の毎日あるぺん号に乗り、翌朝5:50に中房温泉登山口へ到着。

大勢のハイカーでごった返す中、登山届を出してトイレを済ませベンチでいなり寿司の朝食。

 

 

中房温泉の玄関前が東沢登山口となる

 

 

東沢登山口が少しわかり難いため周辺をウロウロしていると、中房温泉のご主人が宿の中から怪訝そうな面持ちで私を見ている。

「餓鬼岳はこちらからですか?」と尋ねると、そうですと仰り「ビバークするためのツェルト等はお持ちですか?」いきなり聞かれて面食らった。

更に追い打ちをかけるように「(赤テープや目印は)ありません」「行方不明者が何人か出ているんです。どうしても駄目だと思ったら必ず戻って下さい」「実際、何人かは戻ってきています」とのお言葉。

ヒィーーー!やっぱり噂通りだ。(◎_◎;)

そこで、賢そうなコリー犬が寄ってきたので思わず頭をなでなで。可愛い~(*^^*)

ご主人の神妙な表情が焼き付いている。

普通の女性ならここで諦めるのかもしれないけれど。。。(笑)

「私は絶対、行方不明になんかならないぞ!」「でも本当に駄目だったら素直に戻ろう」そんな気持ちが交錯する。

 

 

出鼻をくじかれたような形でのスタートとなったが…

 

 

行方不明者続出のマイナールートで東沢乗越へ

 

未知のルートを歩いてみたい。

それが私のモチベーションに繋がっている。

登らずして撤退という選択肢はない。

 

 

アルミ橋

 

ちょっと心細いけど、この橋を渡るとワクワクしてくる。

ひとけはないものの、最初は判りやすい細い道。

次第に藪が広がり踏み跡も薄くなるが何とか突破。

 

 

ソバナが揺れる

 

 

早くも藪に突入

 

 

沢沿いを歩く

 

思わずハッとするような素敵な沢沿いの道。

 

 

クサボタン

 

くるりん♪淡い紫のクサボタン。

 

 

こちらは間違い

 

倒木を越えて進むがこちらは間違い。

広い沢の真ん中に○印の木がある場所で間違って右手に行き沢を詰める形となり、うーんこれは違うな…と感じて元に戻る。

 

 

タマガワホトトギス

 

間違った道で見つけたタマガワホトトギス。

 

 

落ち着いて赤テープを探すこと

 

○印の木を越えてすぐ左手に渡渉し、樹林帯の赤テープに従うのが正解。

 

 

かかか可愛い

 

 

宝石みたいな実がいっぱい

 

序盤の堰堤は、向かって右側(左岸)から越える。

崩れている箇所もあるので慎重に。

 

 

滝の手前を渡る

 

左岸から右岸へ渡るところで小休止。

滝みたいな所は通らず、左手に細い登山道が続いているのでそちらへ。

 

 

ヤマハハコ

 

 

センジュガンピ

 

 

白い花と虫

 

ひと夏の一期一会。

 

 

小さな沢を渡渉し赤テープがあったのでそこから樹林帯に入ろうとしたら、背丈以上の藪と巨大な倒木で進退窮まる。

どうにもならず元に戻ることに。

 

 

赤テープ

 

赤テープのあるここから沢沿いに直進でOKだった。

ルートミスしかけたのは、この2回のみ。

ふー。

 

 

きゃあ、ママコナちゃん

 

 

ヒョウモンチョウ

 

ヨツバヒヨドリの蜜を吸うヒョウモンチョウ。

 

 

正規の登山道には必ず踏み跡があり、元に戻って見渡せば必ず手掛かりが見つかる。

赤テープや○印は確かに少ないけれど、最小限ついているので見逃さずに。

小さな渡渉は数回ある。

刈り払いされていない笹薮が登山道を隠し、足幅が狭く片側は切れ落ちているのでここで滑落したら行方不明になるだろうなぁ…という場所が何箇所もあったりする。

この登山道の管轄は燕山荘らしいが、ほとんど整備はされていない。

 

 

青い花

 

ヒメシャジン?ツリガネニンジン?

 

 

ヒメアカバナ

 

おっと、ヒメアカバナも見逃さないよ。

 

長くて遠い餓鬼岳小屋

 

 

東沢乗越

 

ヘロヘロになりながら、やっと着いた東沢乗越。

東沢乗越まで登ってしまえば、そこからの尾根上で迷うような箇所はない。

但し、見通しが悪い笹薮は相変わらず多い。

跨げない高さの倒木は下から潜って通過した。

周囲に人はいないので黙々と歩くのみ。これがとにかく長い。

しかも、結構アップダウンもあったりしていつになったら着くの~~と挫けそうになる。

 

 

オヤマノリンドウ

 

オヤマノリンドウがあちらこちらに。

 

 

うわお!

 

標高が上がるにつれ、広がる景観。

 

 

おぉぉ!

 

「おぉっ!」とか「わお!」とか、ひとりでうるさい(笑)

 

 

東沢岳

 

岩場を登るとそこが東沢岳。

とても見晴らしがよく気分爽快。

ここでひとまずランチ休憩。

でも、遠くに見えるピークまではまだまだありそうだ。

 

 

剣ズリ

 

剣ズリと呼ばれる険しい岩稜帯。

 

 

あの山を越える

 

まだまだ先は長そう…。

 

 

ヒメミヤマウズラ

 

オノエランのミニチュアみたいな、ヒメミヤマウズラを発見。

 

 

味のある道標

 

 

タケシマラン

 

タケシマランの赤い実がぶら~ん。

 

 

鉄の梯子やら

 

 

木の梯子を登り

 

心を無にして淡々と歩いてはいるが、もう疲れ切って半分ゾンビ状態。。。

 

 

あっ、あれは…

 

目の先にオレンジ色の物体が見えた時は思わず声が出た。

「あれってテントだよね?」

ゾンビが人間に戻った瞬間。

 

 

テント禁止エリア

 

本来のテン場はここより一段下の狭い窪地(当日は4張ほど設営あり)

ここはテント禁止エリアです

 

温かいおもてなしと美味しいごはん

 

 

餓鬼岳小屋

 

やった!!憧れの餓鬼岳小屋。

気さくな親父さんが笑顔で迎えてくださったので、今朝からの顛末をお話すると笑われてしまった。

今までの疲れが吹き飛んでしまうような温かいおもてなし。

また、色々なハイカーさんとお話ししてとても楽しいひとときを過ごした。

ありがとうございます!

 

 

よくきた餓鬼岳

 

これが見たかった。

 

 

[餓鬼岳小屋]
1泊2食 9500円
噂通りご飯が美味しい!
水:500ml 100円(天水を消毒したもの)
トイレ:ペーパーなし要持参(ゴミ箱あり)、土足厳禁
いわゆるボットンタイプだが綺麗に掃除されている
ドコモ電波:4本立って普通に繋がった
(天気予報の確認後は機内モードに戻す)

 

 

【信濃大町なび 山小屋のご案内】

http://www.kanko-omachi.gr.jp/mountain/lodge.php

 

 

りんごスティック、カフェオレ

 

屋外のベンチでスイーツタイム。

バーナーでお湯を沸かしアップルパイ休憩をしていると、お隣の女性達に話しかけられる。

女ひとりでここまで来たことを大変驚かれてしまう。

「出世欲とか全然ないのに山に関しては野望が渦巻いて、行きたいと思ったら抑えられないんです」

「わかる!確かにそういう時期はあるわね!」

笑いながら同意してくださった。(^^ゞ

 

 

では山頂へ

 

 

最後のコマクサ

 

ひっそりと咲くコマクサに大感激!

とても輝いて見える。

 

 

コマクサのアップ

 

残っていてくれてありがとう♡

 

 

餓鬼岳山頂

 

本当に5分で着いた。

 

 

餓鬼岳からの景観

 

 

誰もおらず静かで落ち着く山頂は360度の大展望。

 

 

キツくて遠かったけど…。

 

 

 

本当に来てよかった。

 

 

★餓鬼岳小屋の夕食★

 

楽しみにしていた夕食は、炊き込みご飯とおでんにひじき煮物。

グレープフルーツも嬉しい。

 

 

夕景

 

夕陽に染まる餓鬼岳と小屋。

 

ベンチで山談義したご夫婦。

高天原へ縦走したことがあるそうで、いつか私も行きたいんですと話したっけ。

 

 

陽が沈む

 

皆が外に出て空を眺めている。

 

 

本日の寝床

 

皆で協力して布団を敷き、まったりタイム。

 

ひっそりと咲くシラヒゲソウとの出逢い

 

 

朝焼け

 

素晴らしい朝焼けで始まる素敵な一日。

 

 

☆餓鬼岳小屋の朝食☆

 

シンプルだけど美味しい朝ごはん。

手作りで満足度が高い。

 

 

餓鬼岳怪談七不思議

 

ストーブの側で餓鬼岳怪談七不思議を読む。

 

 

昨日歩いた道

 

再度、餓鬼岳に登頂してから下山することに。

よく歩いてきたなぁ…と自分でも思う。

 

 

光と影

 

光と影、そして静寂のシンフォニー。

 

 

青空が嬉しい

 

東沢乗越への荒れた道に比べたら、特に小屋の近くは遥かに歩き易い。

笹がきちんと刈り払いされているせいもあるだろう。

 

 

オオヒョウタンボク

 

オオヒョウタンボクの赤い実(有毒)がびっしり。

 

 

大凪山

 

大凪山は樹林帯のなか。

中盤で岩ゴロゴロ、ザレザレの急傾斜がありとても滑り易く気を遣った。

 

 

最終水場

 

こちらが最終水場の橋。

 

 

沢の水ではなくオレンジジュースで

 

 

ピンクのオオレイジンソウ

 

 

橋を渡って

 

最終水場より下部は沢沿いに歩くが、岩が濡れているため慎重に。

 

 

魚止ノ滝

 

魚止ノ滝まで下りてくると。。。

 

 

あっ!シラヒゲソウ♪

 

 

2輪のシラヒゲソウ

 

徐々に花数が増えて。

 

 

シラヒゲソウ群生

 

こんな群生に出会うようになる。

 

 

日陰に燈る

 

もう何度立ち止まっただろう。

蕾もたくさんありまだまだ楽しめそうだ。

 

 

鎖場

 

足幅は狭いけど、ロープや鎖があるので大丈夫。

 

白沢登山口から薬師の湯まで歩く

 

餓鬼岳小屋にて無線で連絡してもらえば白沢登山口からタクシーに乗ることができる。

ただ、初めて歩く場所でありお花を観賞する時間も考えると、下山時間の確定は難しいと判断し頼むのはやめた。

 

白沢登山口

 

実際、地図のCTよりも時間がかかるハイカーさんが多く、タクシーの待機時間分も料金に加算されるという情報もあり、急いで下りて怪我などするのは避けたかったので正解だったと思う。

 

 

ゲンノショウコ

 

道端のゲンノショウコが可愛すぎる。

 

 

舗装路をてくてく

 

駅まで歩いたとしても昼の時間帯は電車がないのだ。

どこかでタクシーを捕まえようかと思いながら、結局は歩いてしまった。(^^ゞ

 

 

サルスベリ

 

青空に映えるサルスベリの花。

白沢登山口から大町温泉郷まで、徒歩3時間。

 

薬師の湯

 

露天風呂がすごくいい。

 

 

岩風呂

 

こちらの岩風呂の雰囲気がとてもよかった。

 

 

雷鳥アイス

 

ダムカレーは売り切れで仕方なくざるそばにして、デザートは新発売の雷鳥アイス。

 

 

[薬師の湯]

7:00~21:00(夏季)
餓鬼岳小屋の割引券にて700円 → 500円

http://o-yakushinoyu.com/

 

 

大町温泉郷バス停にいた猫さん

 

徒歩で大町温泉郷まで歩くハイカーさんはいないと思うけれど。

炎天下での徒歩はオススメしないことを念のため申し添えておく。(^^ゞ

 

最後に

 

“よくきた 餓鬼岳”

花束を差し出す邪悪そうな餓鬼を見たくて「いつか行かなくちゃ」と思っていた山。

(仏教でいうところの餓鬼はあまりいい境涯ではないけれども)

 

予約の電話をした際に私のことを知らないはずの女将さんが「あなたなら大丈夫!」と仰る。

「どうしてそんなことが解るのですか?(^^;」

「山に慣れている人じゃないと乗越からの道は歩かないから…」

そのお言葉が励みになったのは確か。

 

できればコマクサの咲く時期に燕岳からテントで縦走したいな~なぁんて考えていたが。

既にそんな思いは打ち砕かれている(笑)

アットホームな小屋に、いつかまたお邪魔できる日がくるだろうか。。。

 

 

餓鬼岳バッヂ(1000円)

 

渋い餓鬼岳バッヂは宝物だね。

 

しおん
2011年4月、初めての登山で人生が変わった。山のとりこになって早10年。 今一番行きたい場所に、いつもひとり気ままに出かけています。 無類の猫好き。(=^・^=) 東京在住。
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