遥かなる尾瀬。
燧ヶ岳と至仏山に登ったのはだいぶ前のこと。
テント泊した尾瀬沼以外で知らないエリアを歩いてみたい。
例えば燧裏林道もその中のひとつ。
まだ開山前で雪は多そうだし、アクセスは不便極まりないけれど。
この時期にテントを張れるのは見晴キャンプ場だけ。
きっと、静かなテント泊ができるはず。。。
5月はまだかなりの残雪があり、ハイキング気分では歩けません
沢の前後に残雪の傾斜がキツイ箇所や、下が崖の雪道トラバースもある
チェンスパを履いていても3mほど滑落したり、橋の間の空間を踏み抜いたりしながら、なんとか這い上がって無事通過
安全を取るならば雪が融けてからがオススメ
往復のアクセス・トイレ
[往路]
07:03 春日部よりリバティ会津
09:21 会津高原尾瀬口
09:40 会津高原尾瀬口駅前よりバス(2180円)
11:15 尾瀬御池
【会津バス】
https://aizubus.info/timetable/result/?no=384&de=&week=1&f_from_type=&f_from_genre=&f_from=
※こちらが正しい時刻表となります
5/12時点では、まだ運休中である沼山峠行きの時刻表になっていて、御池行きは14時台の1本のみ掲載
憩の家売店でスマホを見せて間違いを指摘したら、運転手さんにも情報共有してくださり本社へ連絡してくれた模様
自社HPに間違った時刻表を掲載していることを、本社・営業所の誰一人として気づかないなんて逆にビックリなんですけど…(;^_^A
[復路]
13:20 尾瀬御池よりバス(回数券なら2000円)
14:56 会津高原尾瀬口駅前
15:17 会津高原尾瀬口よりリバティ会津
<トイレ>
●山の駅 御池(チップトイレ、水洗、ペーパーあり)
●見晴キャンプ場(チップトイレ、水洗、ペーパー&泡ハンドソープあり)
温泉小屋近くのトイレは閉鎖中
自己CT
[1日目]
11:35 山の駅 御池
11:37 御池登山口
12:20 見晴まで7.9㎞
12:29 チェンスパ装着 12:30
13:42 裏燧橋
14:38 見晴まで3.9㎞
14:39 “見晴キャンプ場まで約1時間”看板
15:40 見晴まで2㎞
15:45 温泉小屋
15:59 東電分岐
16:11 見晴十字路
16:12 檜枝岐小屋
16:15 燧小屋 16:19
16:20 見晴キャンプ場
[2日目]
06:51 見晴キャンプ場
06:52 燧小屋
07:16 東電分岐
07:36 温泉小屋
07:45 御池まで7.4㎞
09:02 御池まで5.5㎞
09:59 裏燧橋
11:15 小休憩 11:20
11:24 御池まで1.5㎞
11:59 御池登山口
12:01 山の駅 御池
会津高原尾瀬口から御池へ
リバティ会津、今日は無事に乗れました(笑)。
去年の夏、開かずの1号車ドア前で待機していて乗車できなかった苦い経験が。
座席足元が広く、綺麗なトイレとコンセントあり。
車内販売はないので飲み物などは事前に準備しておく。
野岩鉄道はSuica・PASMOが使えないため、自宅最寄り駅から新藤原までの運賃は復路での清算となる。
新藤原~会津高原尾瀬口までの運賃(1090円)はリバティ車内で現金払い。
少しわかりにくいのは、下今市駅から会津田島駅までは特急券は必要なく、乗車券だけで乗ることができるという変なシステム
ただし、指定席特急券を持った人が現れれば席を譲らなければなりません
ネット予約をする際、その点を頭に入れておけばいくらか節約できる
【追記訂正】同一列車で下今市駅を越えて乗車する場合(例:浅草⇔会津田島)は、全区間の乗車券・特急券が必要なので節約はできません
ちなみに春日部から会津高原尾瀬口の指定席特急券は1630円です
【東武鉄道・特急券・空席照会】
鉄橋を渡って。
会津高原尾瀬口駅に到着。
都心方面への鈍行列車が停車中で踏切が開くのを待つ。
会津高原駅プラザ 憩の家で、御池までの乗車券を購入。
ラーメンやうどんなど軽食の提供は可能らしい。
行動食として買えるのはロングライフのパンやお菓子、カップラーメン。
日持ちのしないおにぎりはなし。
感じのいいご夫婦だった。
会津駒ヶ岳に登った時、このバスに乗ったよね。
約1年ぶり。
乗客は私ひとり。
このバスの運転手さんがとてもいいお方で、水芭蕉が咲いている路肩で一時停止してくださったり飴をくれたり。
間違った時刻表の訂正を依頼した時も、ニコニコしながら「会津バスは昔からバカだから…」と一言。
お茶目なキャラと自虐ネタに思わず大笑い!
「運転手さんがいい人でよかった」と降車まぎわに言ったら「そんなことないない」と笑ってたけど、とても癒されました。
ありがとうございました!
山の駅 御池にてチップトイレを利用。
会津高原駅プラザ 憩の家と同じロングライフパン2種類(クリーム・こしあん)が売っている。
到着時、数十羽のイワツバメがものすごい勢いで飛び交っていた。
まん丸お目目が可愛い。
よくそんな所に留まれるね。
持参したミルクティと、憩の家で購入した北海道クリームパンを外ベンチで食す。
出発時、ご主人と思われる男性に「お客さんどちらまで?」と尋ねられた。
「見晴でテントです」と答えると「雪が結構あるのでお気をつけて」というやり取りがあった。
人の少ない残雪期に入山するのだから、そりゃあ心配されるよね…と気を引き締める。
御池駐車場の雪壁。
御池登山口~上田代~燧裏林道
御池登山口は駐車場の奥。
登山ポストがなく、記入済みの登山届を出しそこねた。
ここからスタート。
御池登山口から先は雪道。
まぁ、想定内ではある。
だけど「えっ?登山口からもう雪があるの?」というのが正直なところ。
この辺りは登山靴で大丈夫。
スカルパZGトレック、今日もよろしくね。
小鳥のさえずりに立ち止まりながら坂を登る。
声は聞こえるのに姿は見えず。
ものすごい大木が現れた。
おぉーっ!
登ったところが雪原となっていて、右手に素晴らしい景観が。
あれは平ヶ岳?
反対側から下山してきた男性とすれ違いざまに会話する。
サングラスと長靴、40代くらいで山慣れした感じ。
どうやら地元のお方らしい。
どこまで行くのか、何度か歩いたことがあるか、現在地がわかるものを持っているか尋ねられる。
スマホのジオグラフィカで現在地を見せたらとりあえず安心されたご様子。
燧裏林道ってそんなに大変なのかな?と思ったけれど、後々それを思い知ることとなる。
越後の山々が素敵。
見晴まで7.9㎞の道標。
しかし遠いなー。。。
雪の斜面トラバースが出現。
ここが最初の難所。
手前でチェンスパ装着。
やっぱり持ってきてよかったー!!
テン泊装備をなるべく軽くしたくて一瞬迷ったんだよね。
結果的にはトラバース中に1回目のプチ滑落。
やはり斜面を下るほうが怖い。
同じ箇所でも帰路の登りは全然問題なかった。
頻繁に出てくるピンクテープと、ジオグラフィカのログを確認しながら進む。
緩やかなアップダウンとほぼ平坦な場所が交互に出てくる。
雪がなければもっと楽なのだろう。
押し花ならぬ押し葉になっている紅葉。
バンザイしているようなオオカメノキの冬芽。
雪道でよく遭遇するやつ。
まだ、こんなのを撮る余裕があったという証拠。
気を遣う斜面のトラバースや踏み抜きで、だんだん余裕がなくなってくる。
あ、画像で見たことがある裏燧橋だ。
やっとここまで。
見晴まで半分にも満たない距離。
ワイヤーが倒されているので、気をつけて渡る。
大丈夫、道は合っている。
罰ゲームのようなアクシデント
向こう側からやってきて、斜面を上がる際に中央の枝に掴まった時。
雪に埋まっていた木の根元がいきなりビヨーーン!と跳ね上がり顎を強打。
口の中でカチン!と歯がなる音が聞こえた。
一瞬でかなりの衝撃。
これって残雪期あるあるだけど、気をつけないと本当に危ない。
痛くても歩ける程度の打撲で済んだことが幸いであった。
後日、内出血した箇所が微かな赤色から赤紫のドドメ色に。
一日中マスク必須の仕事であり、コロナ禍で一人ランチが認められているため職場の誰にもバレずに済んでいる。
プライベートな休日の出来事を言い訳する必要がないのはとても気楽だ。
橋がないところも含め、何度か沢を渡る。
この辺りだったか、カラ~ンカラ~ンと熊鈴の音が聞こえるも人は見当たらず。
空耳かな?
見晴まで3.9㎞の道標。
この辺りで2羽の小鳥を見かけた。
全身黒色はクロジ、全身茶色はミソサザイだろうか。
あっという間に遠ざかってしまい撮影はできなかったものの、目前に現れてくれたことが嬉しい。
クロジもミソサザイも見たのは初めてだから。
ミソサザイの美しいさえずりを耳にしたことは何度もある。
見晴キャンプ場まで約1時間と書いてあり、15:30頃着けるかと思いきや。。。
あくまでも無雪期の目安で、ぬか喜びであった。
この階段を下りた後が難所。
細い橋を渡ってから対岸の急斜面をトラバースしなければならず、滑落しないように神経を集中させた。
また、いくら気をつけていても急に倒木ビヨーーン!が起こり、木の側を通るたびにひやひや。
「うわぁーー!やめてよ」と独り言。
木の根元ではなくなるべく枝側を通るようにする。
雪が融けて夏道になっているところもある。
尾瀬ヶ原休憩所やトイレはまだ閉鎖中。
それでも、小屋が見えたことでずいぶん気持ちが違う。
元湯山荘は確かオンシーズンになっても閉鎖中のはず。
ミニの水芭蕉が目に飛び込んできた。
可愛い。
なんかホッとする。。。
温泉小屋もまだ閉鎖中。
木道に雪はあるが、この辺でチェンスパを脱ぐ。
宝石を散りばめたような水の流れの中に咲くリュウキンカ。
至仏山がドーン。
風がビュービュー吹いてきたが、シェルを羽織らずそのまま小屋を目指す。
小屋の群れがだんだん近づいてきた。
見晴十字路はすぐそこ。
御池から5時間弱かかり予定より1時間オーバー。
残雪期にテント泊装備で燧裏林道を歩くのは、よほどの物好きだと自分でも思う(笑)。
山の駅 御池のご主人や、長靴のお兄さんがご心配くださった理由がよくわかった。
見晴十字路での出会いと見晴キャンプ場
つ、着いた~!
檜枝岐小屋まで来るといきなり人の姿が。
数時間、誰もいなかったので違和感を覚えるほど。
次回はひげくま喫茶に入りたいなぁ。
あるパーティの若い男性より声をかけられ、御池から歩いてきたことを伝えると労ってくださった。
「あ~、こまの小屋Tシャツ!僕も持ってますよ~」
鹿からニッコウキスゲを守るお仕事をされていて、仲間と燧小屋に泊まるらしい。
「一緒に行きましょう!」と促され後をついて行く。
明るくて元気なだけでなく性格のよさが伝わってくる。
会津バスの運転手さんといい、この若い男性といい、ピンポイントで優しい人達に巡り合えたことが嬉しい。
見晴キャンプ場の受付は燧小屋へ。
テント1名 800円(予約不要)
水場、チップトイレあり
先客が1名いらっしゃった。
「こんにちは」とご挨拶。
この日はたった2張。
右にあるのがチップトイレ。
水洗でしかも泡ハンドソープまで設置されている。
さすが尾瀬、至れり尽くせり。
立派な見晴休憩所。
もちろんそのまま飲用可。
フレッシュなフキノトウがトイレ前に。
残雪や湿っている地面を避けてこちらに設営。
鳥の声だけが聞こえる静かなテン場。
不思議なことに、今日はテント泊装備の重さをあまり感じなかった。
それだけ雪上歩きに神経が集中していたのだろう。
砂利が混じった土なのでペグが打ちにくい箇所あり。
四隅だけペグを打ちあとは転がっている岩を利用。
ありがとう~優しい運転手さん。
(lll⊃д`)・゚・
過酷な雪道を歩いてきたから尚更、ちょっとした優しさが身に沁みる。
★なんちゃって酢豚★
冷凍から揚げ、パプリカ、ピーマン、人参(家で下茹で済み)、酢豚の素で簡単に作れる。
栄養、彩り、時短の面から大のお気に入りメニュー。
夕食後に寝落ちして目が覚め、トイレに行ってからまた寝る。
半袖Tとアームカバー、薄手シェルにいつものダウンを羽織っただけで、全然寒くなかった。
22時頃、複数のバイクのエンジン音で目が覚める。
でも、こんな雪山の中でバイクなんて走れないよね?
テントにもライトが反射していたし、決して夢なんかじゃない。
一体何だったんだろう??
BGMは小鳥のさえずり
☆翌朝☆
早朝の尾瀬ヶ原。
曇っているけど寒くはなく爽やかな朝。
パンケーキとカフェオレで簡単な朝食を摂る。
テント周辺を散策してみる。
そこかしこでカッコウやウグイスなど小鳥の声が響き渡り、まるでサラウンドスピーカーのようだ。
テント番号札を返却するため燧小屋へ立寄る。
カウンター上に木箱が置いてあるのでその中へ。
13:20のバスに遅れないよう、余裕を持って1時間早めに見晴キャンプ場を出発。
6時間みておけばランチもできるだろう。
青空が覗いた。
曇り予報だったのでこれだけでも嬉しい。
ハクセキレイ、胴体切れちゃった(笑)。
メチャクチャすばしっこい。
頬の黒斑がないので、おそらくニュウナイスズメ。
ニュウナイスズメは初めて見た。
御池方面は晴れてるね。
小鳥の声を聞きながらゆっくり歩いていると、あんなに辛かった昨日のことが嘘のように思えてくる。
あーっ、アカゲラさん。
こちらも初見だよ。
温泉小屋を過ぎた辺りでチェンスパ装着。
早朝は曇っていたけど晴れてきた。
太陽さんありがとー。
ちょうど8時、例のトラバース下り箇所。
沢への転落を回避するため作戦を考えた。
ここを下りるのはやめて数m先の大木の根元から倒木を掴んで下りる。
渡渉可能なポイントを探して慎重に渡渉。
その後は笹薮こぎして無事に登山道に復帰。
なんか楽しい♪
8:25、もう一つの沢。
結局ここは登りと同じ場所を通り、またもや3m滑落。(^^;
沢の手前で留まり事なきを得た。
この階段までくればもう大丈夫。
厳しいトラバースも沢もクリアして。
昨日歩いた道なので、気持ちに余裕がある。
極小の赤い菌類が木道にいっぱい。
ウスタビガは、もう羽化した後なので中身は空。
濡れている木道を歩く。
雪のトラバース道を通過中。
「ツピツピツピツピ!」「ツピツピツピツピ!」
シジュウカラに似てるけど、黒いネクタイないからヒガラちゃん。
うわー、昨日から初めて見る鳥ばかりだよ。
山は鳥の宝庫だわ、ほとんど撮れないけど。(^^;
咲きたての美しいショウジョウバカマがいくつか。
歩く向きが違うので昨日は気づかなかった。
この手前の斜面にもぽつぽつ咲いていた。
こちらのショウジョウバカマのほうがフレッシュ。
曲がった巨木のダケカンバ。
生命力すごいね。
雪原にて自撮り。
『とんでもない。私は山に行きますよ。』
こまの小屋もまた行きたいな~。
上田代からの素晴らしい絶景。
ここで長々と過ごしたくなる。
やっぱり姿は見えない小鳥ちゃん。
ヒンカララ…はコマドリかな。
あともう少しでゴール。
昨日あった車はほとんどない。
行きも帰りも5時間弱かかった。
無事に下山できたことに感謝して。
寒くも暑くもなく快適な気温。
「山小屋(400円)に比べると安い!」
奥様笑ってた。
迷わずチリトマをチョイス。
昨日言葉を交わしたご主人より「あ、お帰りなさい」と言われ、少しだけお話する。
こちらも感じのいいご夫婦。
ストーブが焚かれている室内で暫しのランチタイム。
久しぶりに食べるカップ麺はとても美味しく感じる。
ふわぁ~~心底ホッとするわ。。。
帰りのバス運転手さんは女性。
最近は女性もよく見かけるようになった。
「回数券なら2000円で乗れるので180円お得になりますよ」と教えてくださった。
ありがとうございます。
帰りも乗客は私ひとり。
会津高原尾瀬口駅前にある温泉に入って16時台の鈍行で帰る予定が、第2木曜休みのため入れず。
次回トライしよう。
駅員さんに指定席を予約してもらい、自販機で飲み物を買って15:17のリバティ会津に乗車。
【会津高原・夢の湯】
日帰り温泉 500円
最後に
人のいない燧裏林道、とても気に入ってしまった。
山には登頂しておらずテントを張っただけなので、本来はゆるキャンなのだけれど。
今回の道程がゆるくはなかったためカテゴリーは登山とした。
雪が融けて花が咲く頃、また訪れてみたい。