猛暑の影響により今年はどこも紅葉が遅れている様子。
神のじゅうたんで有名な栗駒山もまだ色づき始めのようだけれど。
せっかくの2連休だからのんびり温泉も楽しみたい。
3年前いわかがみ平から訪れた際、反対側の登山口にある須川温泉に興味を持った。
バス停のすぐ近くに温泉と須川野営場があるらしい。
しかも、あまり整備されていない様子で無料となっている。
多少の不安があったが思い切って須川野営場を利用してみることに。
往復のアクセス
[往路]
23:00 池袋駅西口より夜行バス
04:47 一関駅前(西口)
09:00 一関駅前⑨よりバス
10:34 須川高原温泉BS
[復路]
11:10 須川高原温泉BSよりバス
12:30 一関駅西口
12:51 一関よりやまびこ56
【岩手県交通・須川温泉線バス時刻表】
http://www.iwatekenkotsu.co.jp/pdf/timetable/33_ichinoseki/33110_genbikei-mizuyama_s_20240601.pdf
自己CT
[1日目]
11:42 須川野営場
12:20 賽の河原
12:27 分岐 12:29
12:35 苔花
13:00 三途の川
14:38 栗駒山 14:56
15:15 天狗平 15:17
17:05 秣岳
17:55 秣岳登山口
18:33 須川温泉(大日湯♨)
そこそこ便利な一関駅
一関駅に夜行バスが到着したのはまだ暗い早朝5時前。
24時間営業のローソン一関大町店(徒歩1分)へ向かう。
地域限定おにぎりやパンを購入、ロータリーへ戻って一関駅(05:15~23:30)が開くのを待つ。
大きな待合室があるのでここで朝食を。
東北でも某駅と違って一関は桁違いに便利であることを付け加えておく。
バスを待っている間に次々と駅ナカのお店が開店し活気がある。
NewDays一ノ関駅西口店 06:00~21:00
なの花立食い蕎麦一ノ関駅店 07:00~18:00
ぐるっと遊一関店 08:00~18:30
バス発車までだいぶ時間があるのでガッツリ読書。
登山中に突如として噴火が起こった時、一体どれだけの登山者が自分の身を守れるのか。
賛否両論あるだろうが彼女の判断力と行動力に拍手を送りたい。
『御嶽山噴火 生還者の証言』 著:小川さゆり
一関駅西口の様子。
既にバス待ち列ができており慌てて最後尾に並ぶと、前のオジサマよりバスカードなら少し安くなるよと教えてもらい案内所へ走る。
片道1500円のところ1100円分のバスカードを1000円で買って車内で差額400円を支払う。
往復なので2枚購入し合計200円安くなるという仕組み。
この後、一関駅方面から歩いてきた日本人男性に「すいません!すいません!Can you speak……?あの~日本人ですか?」とか話しかけられ思わず「は?」(笑)。
登山者でもないのに栗駒山のことを聞きたかったらしいが、30人以上いる中なぜ私?
バスカードを教えてくださったオジサマも「変なこと言う人だね」と訝しがっていた。
穴場的な須川野営場
一関駅では晴れていたのに、山間部にさしかかると雲行きが怪しくなりやがてガスガスに。
1時間半バスに揺られ須川高原温泉に到着する頃には雨となった。
須川高原温泉旅館の玄関口で大勢のハイカーが雨具を装着。
【須川高原温泉】
道路の反対側にある須川ビジターセンターでトイレをお借りする。
そして、テント泊(なんと無料!!)申込書を記入し提出。
熊の出没情報を見てみると“9月キャンプ場下”って書いてあるけど大丈夫?
とりあえず玄関近くにて雨宿りしつつコンビニおにぎりを。
【岩手県観光協会・須川ビジターセンター】
https://iwatetabi.jp/spots/5793/
営業時間 9:00~16:00
まずはテントの設営をしなくちゃ。
須川ビジターセンターの裏手に位置する小高い丘へ向かうと、ナナカマドの実が鮮やか。
迷路みたいになっていてグルグル歩いていると自炊場と水場があった。
デッキサイトは既に先客がいるため別の場所を探す。
誰もいないここにきーめた。
須川野営場のレビューがあまりなく、添付された画像が暗いものばかりでちょっぴり不安だったけど。
実際に来てみたら、須川温泉もビジターセンターも駐車場もすぐ近くにあって人は大勢いるし安心そのもの。
ここが無料だなんてハッキリ言って穴場だよ。
設営に使える岩が1個もないので全部ペグで。
1本足りなくて落ちてた木の棒を使う。
地面が土なのでよく刺さる。
見頃の紅葉を楽しみながら
雨具装着やテントを設営してからなのでかなり遅いスタート。
まぁテントなので何とかなるかと。
大日湯(露天風呂)の脇が登山口。
温泉の湯気がもうもうと立ち込めて。
雨はやみ陽が射してきた。
須川温泉の源泉を見ながら。
わわっ、キュートなピンクとのラッキーな出会い。
ガクウラジロヨウラクがまだ咲いてるなんて。
赤い実がいっぱい。
おぉー、前方に山が見えてきた。
賽のかわら手前。
それにしても、団体が多くてすれ違い待機ばかり。
まだ早いかと思っていた紅葉はいい感じに。
苔花台という道標が倒れていた場所。
登山靴が濡れない程度の渡渉あり。
こちらは三途の川。
この後もぬかるみは多いが注意して歩けば大丈夫。
うわぁ…素晴らしいじゃないの!
栗駒山の紅葉情報はまだ“青葉”になっていたけれど、鵜呑みにして延期しなくてよかったわ。
ガスっていても素敵だね。
こちらはまだ緑が優勢でギャッベのラグみたい。
一番鮮やかなところをズーム。
ツルリンちゃんがいっぱい。
山の宝石マイヅルソウも。
深みを増した色づき。
足が止まってばかりでなかなか進まない。
だいぶ登ってきて振り返ったところ。
栗駒山から天馬尾根
視界が広がり青空が見えてきたと思ったら。
栗駒山(1627m)に到着。
撮影ありがとうございます。
雨具上は暑くなって早々に脱いだが、下はそのままで正解だったみたい。
(…というのは、この後更に痛感したこと)
山頂は少々風が吹いていて寒くパタゴニアフーディニを羽織る。
甘夏バウム(賞味期限が切れてたけど気にしない)、モンベルのトレールチャイで一休み。
時間が押しているので長居はできない。
須川温泉ピストンなら少々早く着くだろう。
でも、秣岳周回だと確実に18時は過ぎちゃうよね…とは思っていた。
おぉぉ、こちらの紅葉も素敵だよ。
またガスが広がってきた。
下に見える湿地帯がこれまた素敵。
真っ白なシラタマノキ。
下っていくとまた素晴らしい紅葉が。
何度も足が止まってしまうよ。
ちょっとした広場になっている天狗平。
以前はここから昭和湖の近くを通って苔花台経由で須川に下りられたのねー。
火山ガスの影響により須川コースは立入禁止となってしまった。
青く見える昭和湖。
龍泉ヶ原のあたりも色づいてる。
間を抜けてきた鬼岩?を振り返って。
もうあんなに下ってきたのか。
憧れのモン・サン・ミシェル
さきほどから失速している原因は…。
栗駒山から秣岳への天馬尾根のぬかるみがかなりひどい。
ただし、この画像の場所はまだいいほう。
左右どちらかに回避できるので。
これも振り返ったところかな。
左手の山々に夕陽が射して綺麗。
自分を励ましながらアップダウンをこなす。
うあー、これが見たかったのよ。
モン・サン・ミシェル。
さっきから周囲には誰もいない。
時間帯が早ければ「ひとりじめ」って喜べるんだけど。
岩の上から。
ここも紅葉すごい。
ぬかるみ地獄と秣岳、そして天国の大日湯
秣岳、遠いなぁ……。
ドラマチックな夕焼け。
ちょっぴり心細いけど進まねばならない。
また振り返る。
さっきまでのガスが移動して栗駒山方面に夕陽が。
下りの途中、何か景色を撮るため停滞している単独男性に遭遇。
こんな夕方に登山道に人がいたことに内心ビックリ。
どうやら地元のかたらしく「この先はぬかるみがひどいですよ」と気の毒そうな顔で教えてくださって。
今まではぬかるみを順調に回避しながら歩いてこられたので、「ありがとうございます」とお礼を言って進む。
ある場所で左側の枝を掴んで通過しようとしたら、その枝が思いのほかしなって背中のザックがぬかるみにボチャン。
うわーーー、やっちゃった。
しかしよく考えたらあの男性、あんな遅い時間から一体どこへ下りるんだろう??
これから栗駒山へ登る訳がないし秣岳に引き返すとも思えない。
いくら考えても答えがわからない不思議な出来事であった。
あぁ、陽が暮れてしまう。。。
秣岳(1422m)に着いたのは17:05だった。
秋の日はつるべ落としというけれど、ヘッドランプに電池を入れ装着したとたん真っ暗闇に。
さきほどのぬかるみよりはましな感じの登山道だけれど、暗い中プチ岩場もあり緊張感マックス。
遠くにキラキラ見える須川温泉(たぶんホテル系)の灯りが励ましてくれる。
「チリ~ンチリ~ン」という熊鈴はてっきり空耳かと思いきや、ゆっくり歩いている若いカップルさんがいるではないか。
道を譲られ急いで下りていると、またぬかるみで滑って今度は両手が泥だらけ。
更にご年配夫婦らしきカップルの会話が。
旦那さんが間違って沢を下りていて「どこにおるん?」と奥様を探していたので、「登山道はたぶんこっちですよ」と教えて差し上げる。
やがて舗装道路が見え秣岳登山口に出て心底ホッとした。
今回のルート取りはテント泊だからと強行してしまった失敗の巻。
でももう大丈夫。
舗装道路を速足で歩き、30分強で須川温泉に到着したのでそのまま大日湯に直行。
夜間はライトアップされとてもいい雰囲気の中、温泉に浸かって心身ともに温まった。
まさに地獄から天国へ。
テン場に着いたらテントが増えていて暗闇でオジサン達が大騒ぎ。
しかも、そのうちの2人が私のテント近くで立ちション(怒)!
もう夜ごはんを準備する気力がなく持参したカレーパンを食べて休むことに。
シュラフに入ってからもオジサン達はうるさかったので、耳栓代わりに音楽を聴いてシャットアウト。
テン場が無料だとこういう輩も交じるんだなぁと正直思った。
大日湯♨朝風呂を堪能
☆翌朝☆
昨夜作るはずだった山めしを朝食に変更。
三陸産わかめごはんおにぎり2個の上に錦糸卵、荒ほぐし鮭(アルミパウチ)、きざみのり、かいわれ大根をトッピングするだけ。
にんべんのつゆを回しかけたので更に美味しくなった。
野菜たっぷりの味噌汁を添えて。
さて、朝ごはんが済んだらまた露天風呂へ。
営業時間が6:00~21:00と長く、券売機で券を買うだけで割と自由に入れるのが嬉しい。
入浴料は大人700円。
ガスってるけどこれはこれでいい感じ。
湯温がちょうどよく、出たり入ったりしながら1時間くらいまったり。
ふゎぁ、極楽極楽~~♫
11時すぎのバスに乗るだけだから結構のんびりできた。
そのために昨日ムリして周回したのだ。
オジサン達は今日登っているらしくテント内はシーンとしている。
須川ビジターセンターに寄って秣岳周辺のぬかるみの件を尋ねてみよう。
スタッフさんいわく、雨が降っていなくてもあのあたりは通年ぬかるんでいるそうな。
とにかく大日湯がめちゃくちゃ気に入ったことを話し「また来ます」とお伝えすると、「今度はお花の時期にいらっしゃい」と。
そうそう、紅葉もいいけどお花の時期もきっと素敵でしょうね。
いつも出遅れてしまうので、早めにバス停に向かうとまだ5人くらいしか並んでいない。
しめしめ。
そこで、ザックをデポしてキッチンカーで軽くランチを摂ることに。
豚汁小(300円)+うどんトッピング(100円)、食べている途中で焼きおにぎり1個(150円)を追加購入。
ごちそうさまでした。
バス停に戻ると長蛇の列ができており次々と人が集まってくる。
早めに並んでおいて正解。
あらら、バス待ちの間にガスがサーッと流れて青空が覗いた。
ぐるっと遊一関駅店はお土産の種類が豊富で見ているだけでも楽しい。
NewDays一ノ関駅西口店でホットコーヒーとクリームパンを買い、手に持ったまま走ることに。
新幹線乗り場が思いのほか遠くて発車ギリギリ2分前に到着。
最後に
CT的には明らかに失敗の巻ではあったが。
温泉宿がバス停近くにあり、テン泊者でも温泉を思う存分楽しめる須川野営場は穴場。
東京からのアクセス面でも他の東北エリアとは一線を画している。
なぜなら、他はどこもだいたい土日祝限定なのに比べて須川温泉線は6/1~10/31までの期間は毎日運行してくれるから。
そんな便利な温泉地はそうそうない。
次回はぜひ夏の平日にお花を見に訪れたい。