「いつか登ろう」と思いつつも、なかなか計画が立てられず後回しになっているお山。
誰しも心の中にあるのではないだろうか。。。
山をやり始めた頃、職場のオジサマが毎週木曜に渡してくださったもの。
南らんぼう氏の登山コラムの新聞切り抜きで、ある時クラシックルートが紹介されていた。
穂高の展望がとても素晴らしいと書かれており「いつか登ろう」と思いながら早数年。
その記事は今でも大事にとってある。
クラシックルートって何?
島々谷から上高地へ抜ける古い峠道のことで、ウォルター・ウェストン、高村光太郎、芥川龍之介、また、あの加藤文太郎も歩いたそうだ。
ゆえに“歴史に残る名門ルート”“いにしえの街道”とも呼ばれている。
昔の人々は、島々からこの峠道を経由し上高地まで2日ほどかかっていたらしい。
道路が整備されていない時代は選択肢などなくそれが一般的だったのだろう。
徳本峠入口より上高地までの距離は20㎞。
人の少ない静かな場所を好む私にはとても惹かれるものがあって「徳本峠はクラシックルートから」という長年のこだわりがやっと実現化した。
2024年現在、新島々からのクラシックルートは通行止めになっています
徳本峠に行かれる際は別ルートをご利用ください
【北アルプス山小屋友交会・徳本峠小屋】
https://kita-alps.yamagoya.gr.jp/area03/79.html
往復のアクセス
[往路]
22:25 バスタ新宿よりさわやか信州号
04:21 安曇支所前
[復路]
16:45 上高地BTより直通バス
18:16 松本(2450円 発車間際の最後の1席)
18:40 松本よりスーパーあずさ(発)
※バス:松本到着が予定より10分程早くて助かった
※あずさ:普通列車が遅延のため到着を待ち5分遅れで発車
【アルピコ交通バス時刻表】
http://www.kamikochi.or.jp/access/bus-timetable_1/
自己CT
[1日目]
04:39 島々(徳本峠入口)
04:52 第1ゲート
05:45 ゲート(小嵩沢出合)
06:28 二俣 06:29
07:51 島々谷川南沢
09:14 岩魚留小屋 09:20
11:36 力水 11:44
12:58 徳本峠(徳本峠小屋)
[2日目]
04:26 徳本峠(徳本峠小屋)
05:35 ジャンクションピーク
08:16 K1ピーク 08:19
08:38 K2ピーク 08:39
09:00 霞沢岳 09:10
09:28 K2ピーク 09:29
09:46 K1ピーク
12:00 ジャンクションピーク 12:01
12:45 徳本峠(徳本峠小屋) 13:31
14:53 徳本口(徳本峠分岐)
14:57 明神館
15:39 小梨の湯(上高地BTへ10分ほど行きかけて戻る)
いにしえの道を歩いて
数日前の予報は土曜が雨。
しかも出発前日に台風発生。(゚Д゚;)
「雨なら小屋泊まりにしようか?」
「久々のロングなんだから、最初から小屋泊にすればよかった?」
「いえいえ、テント張りたかったし」
こんな葛藤が心の中を駆け巡り、直前の一週間は実に不安定な心境だったように思う。
もちろん仕事中は平静を装っていたけれど。
【さわやか信州号・新宿⇔上高地線】
安曇支所前で降車したのは私だけ。
バスの運転手さんが本当にここでいいのか?と尋ねてきたのがちょっと可笑しかった。
他の乗客が上高地へ向かうので間違ったと思われたらしい。(^_^;)
民家や交番前を通過して。
ドキッとするような艶やかさ。
ムラサキツユクサ。
アジサイの美しい青。
行き橋を渡る。
小さなタニギキョウ。
徳本ブルーをズーム。
太陽が顔を出した。
木漏れ日の素敵な道にワクワク。
マイヅルソウのアップ。
味のある岩魚留小屋。
ヴィンテージ風にしてみた。
大好きなエゾムラサキ。
たまたま視界に入ったコケイラン。
冷たくて美味しい水を2.5Ⅼも汲んだので更に重さは増し。。。
ツバメオモトもいる。
ペアのニョイスミレ。
青紫のラインが素敵なテングクワガタ。
もうダメだ~~休憩しよう……(+o+)
ガマンできず座り込んでおにぎり休憩。
しばし野鳥のさえずりに聴き惚れる。
その後も15歩進んでは立ち止まる、その繰り返し。(;´д`)
ニリンソウがいっぱい、でも心ここにあらず。
うぅぅ。。荷物が重くてもうゾンビ状態。。。(-“”-;)
人の声がする!
そして屋根が見えた。
●徳本峠入口~二俣
大変歩き易い
二俣にトイレあり
●二俣~岩魚留小屋
徐々に緩い登りとなる
大きな沢には橋がかかっているが橋のない小さな渡渉もある
水量が多いと手こずりそう
●岩魚留小屋~徳本峠小屋
序盤は沢沿いの爽やかな道
だんだん傾斜が強くなり、道幅狭い九十九折れの登りが続く
力水(美味しい水場)あり
※2018/6の情報ですのでご了承ください
徳本峠小屋からの大展望
待ち焦がれた小屋にやっと着いた!
長年の憧れ、徳本峠小屋。
テン場には先客がいらっしゃったがご不在の様子。
夕方戻って来られたので、恐らく霞沢岳に登っていたと思われる。
テン場から見える景色がこれって、なんて贅沢なんだろう。
展望台に上がるとさらなる大絶景!!!
今までの辛さが一気に吹き飛んだ瞬間。
がんばって登ったご褒美だ。\(^o^)/
まだガラ空きなので好きな所にテントを張る。
ミツバオウレンや…。
イワカガミが咲く素敵なテン場。
アールグレイパウンドケーキ、温かい紅茶で至福のおやつタイム。
大好きな石田衣良。
久しぶりに読んだ。
徳本峠小屋の側にもひとつあるので合計5張。
チキンとトマトのローストナッツクリーム(無印良品)
リコピントマト、玉子スープ
初めてトライした水パスタ。
茹でるお湯を少なくしたらデンプンが糊化してしまった。
これは今後の課題とする。
ぜんざいはお腹一杯で食べられず(笑)。
残雪の霞沢岳へ
☆翌朝☆
やっぱりシュラフは暖かいね!
テント泊にしてはよく眠れた気がする。
早朝3:30の時点で外はガスガス、しかも上空では強風が吹き荒れる音。
ところが、テント内でお湯を沸かし簡単な朝食を済ませ外に出ると、いつの間にか濃いガスは消え晴れているではないか。
これは「行っておいで」というゴーサインと受け止め4:30にテン場を出発。
[アタック時 備忘録]
水 1.5L
お湯 200ml(摂取せず)
行動食
雨具は出発時のみ上下共着用
Wストック(雪渓トラバースで役に立つ)
チェンスパ(不使用)
少しだけモルゲンロートが見られた。
朝焼けと展望。
生まれたてのコケイラン。
ショウジョウバカマ。
端正な顔立ちのオオバキスミレ。
うわ~~咲きたてのサンカヨウ。
クラシックルートでは既に花が終わり実になっていたサンカヨウ達。
霞沢岳への道にいっぱい♪
咲いててくれてありがとう♪
乗鞍岳。
こちらは御嶽山。
朝陽に輝くミツバオウレン。
うほ~、タケシマランもいるよ。
大きなシナノキンバイがいきなり目の前に。
やっかいな残雪が計6箇所あり、Wストックで慎重に通過する。
「キヌちゃん綺麗ね」
話しかけずにいられない。 (^^ゞ
なんと開花直前のクロユリが!
こちらにも咲くなんて知らなかったよ。
おおっ!
オオサクラソウがかたまって咲いてる。
なんて可憐なんだろ。
色味が薄いオオサクラソウもいた。
コケモモに心奪われ。
やっとK1ピーク!
K1ピークまでの登りが本当にキツかった。。。
右がK2で、左奥が霞沢岳山頂。
聞いていた通り360度の大展望! \(^o^)/
ええと、、、笠ヶ岳から抜戸岳の稜線。
コメバツガザクラ。
清楚な感じのハクサンイチゲ。
咲きたて大集合!
山頂直下の雪渓。
ここで先程抜かれた男性とすれ違う。
既に登頂されてきたようだ。
クラシックルートで霞沢岳に登頂。
7年越しの想いを果たし感無量。。。
やっと辿り着いた霞沢岳♡
山頂ひとりじめ。
穂高連峰の眺め。
霞沢岳を振り返る。
すれ違ったご夫婦がもうすぐ登頂されるのが見えた。
やはり「いつか登ろう」と思いながら40年も経ってしまったと、後程ジャンクションピークにて追いつかれた時にお話を伺う。
わー、イワウメちゃん。
イワヒゲだっ。
行きは上手く撮れなかったので再トライ。
上高地のホテルが眼下に。
さっきよりも満開になったシナノキンバイ。
朝は閉じてたコミヤマカタバミ。
ただいま!
徳本峠小屋に戻った。
ラーメン(昔はあったらしい)がないのでお蕎麦を注文し、待ち時間でテントをたたむ。
「外で食べてもいいですか?」
とろろ芋、山菜、葱、シンプルだけど美味しくて一滴も残さず完食~(^^ゞ
●徳本峠小屋~霞沢岳
展望台から少し下り九十九折れの登りが始まる
ジャンクションピークの辺りより残雪あり
赤テープや赤マーキングがあり迷うことはない
数箇所の雪渓トラバースに気を遣い、K1ピークまでの急登はかなり堪えた
アップダウンはあるもののK1からはいくぶん緩やかな道に変わる
途中、崩落しかかった箇所があり道幅も狭いため要注意
※2018/6の情報ですのでご了承ください
[備忘録]
ハッカ油スプレー(数回使用)…まとわりつく虫はいたがブヨではなかった
モスキートネット(使用せず)
上高地に下りたら小梨の湯に直行
名残惜しいけど、そろそろ上高地へ下山しなくちゃ。
お世話になりました。
また来る時があるなら、小屋にも泊まってみたい。
あれ?順番が逆かな?(笑)
白花エンレイソウに出会う。
こちらの下りも絶景~。
くっきり模様のコミヤマカタバミ。
唯一の渡渉箇所にて。
あっ、ここにもエゾムラサキが。
エゾムラサキでピンクだけの子がいた。
可愛いね!
ニリンソウ、ありがとね。
えっ!?
ベニバナイチヤクソウ群生との予期せぬ出会い。
上高地にて。
誰も気にしていない中しゃがんで撮影していたら、外国人ハイカーさん笑ってた。 f(^^;
うつむく白馬のようなギンリョウソウがぽつんと。
バスの整理券をもらうためバスターミナル方面へ向かって数分歩いたものの、とにかく早く汗を流したくて小梨の湯へ引き返す。
上高地BTに着くとバスに並ぶ長蛇の列がもう動き始めていた。
奇跡的に空いていた最後の1席を速攻でゲット。
ラッキー!というか間一髪。
危なかった。(;’∀’)
最後に
たくさんのお花や美しい歌声でさえずる鳥たちに癒され、憧れの道を歩くことができた。
梅雨時期にもかかわらず絶妙なタイミングでお天気に恵まれたことにも感謝したい。
クラシックルートを経ての霞沢岳は私の中では簡単に行けるお山ではなく、最初で最後かもしれない!?
そう思うと名残惜しくて涙が出そうになる。
最高のシチュエーションで迎えてくれてありがとう。