立山室堂から薬師岳を繋ぐ大縦走の山旅。
単なる憧れが熱望に変わったのはいつ頃だっただろう?
テント泊の計画を立てるも、毎年、台風や暴風雨で延期になった。
大縦走が無理ならせめて薬師岳だけでも…という想いも悪天候で叶わず。
思い返してみると7~8年前からそれの繰り返し。
今夏こそ!と連休を事前申請するが、4日間のところ間違って3日しか取っておらず、どうしたものかと考えあぐねる。
正直このロングルートを3日間で歩き通せる自信がない。
結局は雨予報だったことで中止とし、私が休むと業務が回らないシフト勤務の曜日に出勤して夏休みを1日保留する形に。
改めて9月に4連休を取ったとしても天気がいい保証はなく、バスも減便になるためできることなら8月中に歩いておきたい。
次の2連休にその夏休みをプラスして3日間で歩き通す覚悟を決めた。
ネットで情報収集しながら通常のCTより遅めのマイCT表を作成。
私の足で五色ヶ原から太郎平キャンプ場まで一気に歩くのはかなり厳しく、小屋泊が妥当であろうと薬師岳山荘に予約を入れる。
これが結果的には色々な意味で大正解だった。
なお、全部をまとめると長くなってしまうのでレポートは1日ごとの3分割に。
『蝸牛登山画帖』 著:やまとけいこ
図書館の予約順が間に合わず下山後に読んだ本。
シーズン中は薬師沢小屋で働いているやまとけいこさんの第二弾。
往復のアクセス
[往路]
23:15 新宿西口臨時便26番より夜行バス(7800円)
05:32 扇沢
07:30 扇沢より黒部アルペンルート(片道6140円)
09:00 立山室堂
[復路]
12:30 折立より富山地鉄バス(4300円)
14:30 富山駅
***銭湯♨&寿司?***
17:15 富山よりはくたか572号
【富山地方鉄道・富山~有峰線】
https://www.chitetsu.co.jp/?page_id=741
富山地鉄バスは予約なしでも現金払いで乗車可能
私は初めてだったので発車オーライネットで予約し事前決済しておいた
8/24は空席多し、他の日でも乗れなかったことがない情報あり
自己CT
[1日目]
09:17 立山室堂
10:32 一の越山荘 10:37
11:20 富山大学立山研究所 11:40
12:20 鬼岳東面
13:27 獅子岳 13:28
14:20 ザラ峠 14:21
14:52 五色ヶ原キャンプ場分岐
15:04 五色ヶ原キャンプ場
[2日目]
04:12 五色ヶ原キャンプ場
04:27 五色ヶ原山荘 04:30
05:09 鳶山
06:43 スゴマスク
06:45 越中沢岳 06:50
08:12 スゴの頭 08:22
09:13 スゴ乗越
10:09 スゴ乗越キャンプ場
10:10 スゴ乗越小屋 11:11
12:35 間山
14:30 北薬師岳
15:30 薬師岳 15:35
15:49 避難小屋跡
16:10 薬師岳山荘
[3日目]
06:20 薬師岳山荘
07:33 太郎平キャンプ場 07:36
08:01 太郎平小屋 08:08
08:30 最初のベンチ
08:50 五光岩ベンチ
09:45 積雪深計測ポール
09:57 青淵三角点ベンチ 10:12
11:25 折立
準備編
テント1泊+小屋1泊のロングルートを歩くにあたって、削れるものは削り荷物の軽量化を図る。
夏場とはいえ天候が微妙で炎天下登山ではなさそう。
水場が途中にあるので担ぐ水は最低限でOK。
ランタンも持参せず。
1年前に購入し、出番を待っていたグレゴリーザック“アンバー55”のデビュー戦。
これ以上大きいザックは担げないので、ちょうどいいサイズで使いやすかった。
もちろんシュラフは持参せず、いつものエスケープライトヴィヴィで代用。
山小屋泊の際のインナーシュラフ代わりにも使える。
モンベルの防水スタッフバッグ、アクアペル。
リンクがないので10Ⅼを載せたが実際に使ったのは15Ⅼで色はシルバー。
ひょんなことから知った魅惑の行動食くるみやまびこ。
7年保存可能のレトルト食品(430円)も購入したが、今回はバラ売りハーフ(120円)を持参することに。
積雪期に同じルートを歩いた強者スキーヤーさんのブログに感謝。
くるみレーズンパン(440円)は2日目の朝食、3日目の補助食。
牛乳パン(320円)は今日のおやつ(笑)。
【ヌーベル梅林堂】
【銀座NAGANO】
DAY1*衝撃の事実!五色ヶ原山荘は休業中
予約時にほぼ満席だった夜行バス、実際にはガラガラで不思議に思いながら扇沢に到着。
その理由は後ほど知ることとなる。
今朝はまずまずの天気。
持参したパンと山専ボトルのお湯で簡単な朝食を摂り、黒部アルペンルートの開通待ち。
憧れの大縦走が控えていると思うと、否が応でも気分が昂ってくる。
心の奥から湧き出してくるような静かな興奮に鳥肌が立つ。
未知のルートを歩く前はいつも、好奇心が勝っていてそれほど不安は感じない。
平日なので空いていて10番目に並ぶ。
6:50頃に窓口が開き順番がきたので券売機へ向かうと、室堂までの片道切符は買えないことが判明。
片道なのに9000円超えと表示され「ん?」と手を止めたが、カード決済する直前だった、危ない危ない!
できれば券売機の周辺にその旨をきちんと掲示してほしいなぁ。
扇沢⇔室堂のお客さんがダントツに多いんだろうけど、窓口が混んでいれば券売機で購入しようとするだろう。
呼び出しボタンを押しても誰も出てこないため、次のハイカーさんに事情を話し隣の窓口で無事購入できた。
黒部ダムからの景観。
天気は上々。
上流を見ると赤牛岳がドカーン!
その先に黒岳。
読売新道もいつか歩いてみたい。
黒部ダムの放水。
室堂で登山届を提出しようとして、「えっ!!」と声が出てしまったのはコレ。
「五色ヶ原山荘 8/21から休業中」
五色ヶ原山荘泊の人達には電話連絡があったようだが、テントは予約不要なので私みたいに知らずに来ちゃったハイカーもいるだろう。
とりあえず水場もトイレもあり、ビール等飲まない私にはなんら差し支えない。
扇沢行きの夜行バスがガラガラだったのはこれが原因か。。。
テント受付が不要とは無料ってこと?
剱岳方面で事故が多発。
青空と室堂の花
立山室堂、コロナ禍の影響により人が少ない気がする。
立山玉殿の美味しい湧水を600mlだけ汲んで出発。
600mlのペットボトル×2、山専ボトルのお湯が500mlと今回は担ぐ水を極力減らした。
水場の水を利用して足りない分は小屋で購入すればいい。
清々しい秋の空気。
白っぽいタテヤマリンドウ。
こちらはミヤマリンドウ。
素敵なブルーに見とれる。
輝くチングルマ果穂。
室堂山荘も確か休業中だったはず。
<訂正>8/19から営業再開
【立山室堂山荘】
ガスに覆われる雄山方面。
いたいた!
極小の薄紫は大好きなヒメクワガタ。
ガスがどんどん流れてくる。
フレッシュなウサギギク。
ミヤマリンドウ群生。
ピカピカのミヤマキンポウゲ。
イワイチョウやミヤマキンバイもまだ咲いている。
雪渓は踏み跡を辿れば問題ない。
秋っぽくなったとはいえ、暑さと荷物の重さにたびたび足が止まってしまう。
沢の音に癒されながら一歩一歩進む。
右手はピッカピカの晴れ。
雷鳥沢キャンプ場のテントをズーム、いつもより少ない。
室堂方面を見下ろして。
奥大日にもガスがかかった。
一の越山荘。
ここはいつも風が強い。
トイレに寄り、岩陰でパタゴニアのウィメンズ・フーディニ・ジャケットを羽織る。
【一の越山荘】
http://tateyama-1nokoshi.in.coocan.jp/index.html
懐かしのメロディー♬ぼくがつくった愛のうた
一の越山荘の右脇を通って龍王岳方面へ。
こちら側の道は反して無風状態。
終盤のタカネツメクサを見つけた。
イワツメクサはそこかしこに。
清楚な佇まいのウメバチソウに心躍る。
きゃ、またまたヒメちゃん。
紫色の葯が素敵ね。
後方を振り返ると雄山。
この時はまだ陽射しも強かった。
龍王岳。
今日は登れるかな~。
ガスに覆われる雄山。
富山大学立山研究所。
早朝4時頃、梓川SA(下り)で購入したお弁当。
夜中の談合坂SAは何もないけど、梓川SAのコンビニは品数豊富で穴場だと思う。
休憩場所に設定してくれて助かった。
ほうじ茶を淹れお弁当を食べていると、かなり懐かしいメロディーが流れてきた。
同じ曲をリピートしていたのでラジオではない。
若い頃チューリップを好きだった男性が、昔を思い出しながら聴いているのだろうか。
「懐かしいですね」と声かけしようとしてやめておく。
その男性の余韻をぶち壊してしまいそうで。
いい音楽の前では言葉は不要。
チューリップは特にファンではなかった私でも、この3つは大好きな曲。
この後ずっと頭の中でチューリップが回り続ける。
ぼくがつくった愛のうた 〜いとしのEmily〜 (チューリップ)
心の旅 (チューリップ)
青春の影 (チューリップ)
雷鳥家族との出会い
また龍王岳はガスっちゃった。
晴れた日にいつか登ろう。
五色ヶ原目指してガスの中へ。
トウヤクリンドウ開花中。
この後、足元の岩でバランスを崩し右腕で身体を支えた際、お気に入りのアームカバーが岩に当たって少し破れてしまう。
淡いパープルのミソガワソウ。
ガスガスの中、急坂を下っていたら鳥のシルエットが。
あっ、雷鳥たん!
しかも2羽いる!!
手前がお母さんかな。
奥にいるのは雄でペアか、もしくは成長した雛かも。
犬みたいに「クゥン」とか鳴いてて可愛い。
嘴でお花を突いて食べてる。
トコトコ歩き回りながら「クゥン」。
2ショット。
こっち見た!
雷鳥たん、ありがとう。
ごはん中にごめんね。
お礼を言ってその場を離れる。
序盤で雷鳥さんに会えるなんて幸先いいんじゃない!?
右腕の打撲も気にならないくらい嬉しかった。
ペイントマークがあるので迷うことはない。
鬼岳東面。
岩陰に咲くイワギキョウ。
あの雪渓は通過する場所にはないので大丈夫。
サーモンピンクのオンタデ。
おぉ、ハクサンイチゲだ。
ヨツバシオガマ。
ミヤマダイモンジソウ。
可愛すぎてまた撮ってしまう。
もうすぐ木道エリア。
ハクサンフウロ。
小さなヒマワリみたいなウサギギク。
ヒョウタンボクの赤い実。
美味しそうに見えるけど猛毒なので食べないように。
獅子岳。
まだ蕾が多いヤマハハコ。
五色ヶ原山荘方面もガスガス。
素敵な景色は今日はおあずけ。
ミヤマダイコンソウ。
この辺りはミヤマコゴメグサがわんさか。
チラリと黒部湖。
今度はイワヒバリちゃん。
ザレザレの急坂なので慎重に下った。
確か去年死亡事故があったような。
ザラ峠。
ここまでくればキャンプ場はもうすぐ。
五色ヶ原テントでまさかの展望
淡々と登っていくと木道が現れる。
五色ヶ原キャンプ場分岐。
私がここを左折した直後、目の前のガスがスーッと移動していった。
五色ヶ原キャンプ場。
既に3張が設営済みで、私のテントを入れてもたったの4張。
突然の休業で無料だったが、申し訳ないのでトイレチップを多めに入れておく。
【五色ヶ原山荘】
http://goshikigahara.com/wp/五色ヶ原山荘/
2022/8/21(日)~9/上旬までスタッフがコロナ感染で臨時休業中
キャンプ場の利用もお控えくださいとのこと
テーブル&ベンチがあるここに即決。
トイレは左側の建物でペーパーあり、夜間は人感センサーで明るくなる。
水場はオレンジテントの向こう側で沢水が常時流れている。
要煮沸とあるが煮沸できなかった600mlも特に問題なかった。
今日からよろしくね、グレゴリーアンバー55。
これで心置きなくジェイド50は引退させてあげられる。
本日の宿。
ちなみに、ドコモはネットが繋がったので天気予報だけ見てすぐに機内モードに戻す。
どら焼きとブラックコーヒーで一息。
やっぱり文明堂のどら焼きはお上品な味がする。
お、青空が広がってきた。
どんどん晴れてくる。
今までのガスガスが嘘みたい。
陽射しが強くなってきてテント内もポカポカ。
シュラフ代わりのエスケープライトヴィヴィ。
夕食の時間までちょっとだけウトウト。。。
テントから見える裏銀座の景観。
あぁ、しあわせ~~。
やっぱり五色ヶ原はいいテン場だわ。
こんなに晴れてくれるとは。
大のお気に入りメニュー、カマンベールチーズフォンデュ鍋。
いつどこで食べても(゚д゚)ウマー。
梓川SAで見つけたとうもろこし焼おにぎり、ほうじ茶で〆。
獅子岳方面に夕陽が当たる。
1日目終了。
おやすみなさい。
夜はダウンを羽織っただけで、全然寒さを感じずに眠ることができた。