いよいよロングルートの核心部を縦走する日。
五色ヶ原~太郎平キャンプ場は私にとって未知のルートとなる。
五色ヶ原から鳶山、越中沢岳、スゴの頭、スゴ乗越小屋、間山、北薬師岳、薬師岳。
そして無事に薬師岳山荘へ着けるだろうか。
DAY2*アップダウンを繰り返し
☆2日目☆
3時起床。
くるみレーズンパンとカフェオレ、お魚ソーセージとミニトマトの簡単な朝食。
五色ヶ原キャンプ場を4時すぎに出発。
外は真っ暗なのでヘッドランプ必携。
早朝の五色ヶ原山荘。
念のためここで方向を確認。
キャンプ場から見ると小屋前の木道を左折して進む。
スタッフさんがいらっしゃるようで4:30過ぎたらパッと電気が付いた。
それにしてもこんな山奥でコロナ感染とは、お客さんからうつされた可能性が高い。
8月の書き入れ時に休業せざるを得ないなんて、山小屋も大変ショックだろう。
曇りだと思っていたのに、少しの間だけでも朝焼けが見られてラッキー。
鳶山に着く頃、空は明るくなりかけたがガスが出てきた。
予定より早く着いたので少し嬉しい。
ガスに覆われ左右どちらも見えず。
それでも、ピンクのシラタマノキや赤いコケモモの実に大騒ぎしながら歩く。
ママコナちゃーん。
おちょぼ口のアオノツガザクラ。
ガスが切れた合間にパチリ。
黒部湖がまたチラリ。
なんか尾瀬とか会津駒ヶ岳っぽい。
赤土の平行道。
この辺は楽ちん。
ヤマップで見たスゴマスクだ。
あ、このピークは。
越中沢岳。
石に腰かけて地図確認と水分補給。
ジオグラフィカは、軌跡を取得すると電池消費が激しいので現在地だけの確認。
岩を乗り越えて登りのトラバース。
岩ゴロゴロ。
先が見えないけどなかなか高度感ある下りになる。
この前後だったか、スゴ乗越小屋でテント泊した男女ペアとすれ違い少しだけ会話。
あ、これ八甲田山で見たアオモリトドマツと同じだ。
オオシラビソともいう。
ひっそりとツルリンドウ。
越中沢岳を振り返る。
ガスが途切れた瞬間。
このザレザレのピークがスゴの頭か。
倒れた木材に腰かけて、もう1個のどら焼きを温かいお湯とともに食す。
強風がビュービュー吹いててカップでカフェオレとか飲む余裕なし。
パタゴニアフーディニのおかげでそれほど寒さは感じない。
あー--っ!
小さく赤い屋根が見えるのは、スゴ乗越小屋だよね。
スゴ乗越小屋をズーム。
小屋の手前にあるちょっと禿げたところがテン場。
スゴの頭にいたらガスが途切れたので、さきほど下りてきた越中沢岳を撮っておく。
では、そろそろ歩き出そう。
スゴの頭からの下りは、大岩ゴロゴロをすり抜けて。
イワショウブに立ち止まる。
スゴ乗越。
さっきまで霧雨みたいのが降ったり止んだりの繰り返しだったけど、この辺から小雨になってきた。
崩落地を登り終えてから撮影。
スゴ乗越小屋のランチタイム
傾斜が緩やかになってきて、小屋が近い予感がする。
スゴ乗越キャンプ場。
雨の中、男子2人組がテント設営中だった。
五色ヶ原から先行されていた2人組かも。
スゴ乗越小屋の裏手。
綺麗なトイレは100円。
うぉぉ、やっと来られたスゴ乗越小屋。
休みが4日取れれば2泊目にテントを張りたかった場所。
マイCT表通りに五色ヶ原からちょうど6時間かかった。
【スゴ乗越小屋】
http://ltaro.com/wp/?page_id=15
私が通過した後、スゴ乗越小屋でもスタッフがコロナ感染で休業となった模様
「カレーを楽しみにここまで歩いてきたんですが~」と玄関で声をかけると、感じのいい女性が出てきてランチは10:30からだという。
しかも、例のカレーは今はやっておらず普通のカレーだけらしい。
去年ヤマップで、コロナ禍でネパールからスパイスが届かないのでカレーはないと知り愕然としたけど、今年もダメだったか。。。
最初からランチする予定を組んでいたので、仕方なく10:30まで待つことに。
値段書いてないけどジュースは500円。
残念だったのはカレーだけじゃなくて、ぶっきらぼうな男性スタッフ。
たった一言「500円」としか言葉を発さず仏頂面で感じが悪いったらない。
後に薬師岳山荘で出会った女性も同じことを話していた。
お詫びの挨拶をしても一切無言だったとか。
憧れの小屋だったのに、名物のカレーもなくなってこんな塩対応されたらがっかりする。
高いお金を払う泊まり客なら尚更そう感じると思う。
お客だから何が何でも愛想よくしろと言っているのではない。
サービス業としての最低限の接遇は心がけるべきじゃないの?
それができないなら接客の仕事なんて辞めたらいい。
屋根付きの外ベンチで待たせてもらうことに。
純水みかんジュース(500円)、持参したくるみやまびこを食す。
また、ここで雨具上下を着ておく。
普通のカレー(800円)、味噌汁付き。
10:30にオーダーして15分後に女性が持ってきてくださった。
ごちそうさまでした。
とある男性ハイカーさんがやってきて、ここで雨宿りされている間に色々とお話を。
オーダー待ち時間も含めると、このベンチで1時間も休憩していたことになり慌てて出発。
まだここは中間地点なんだよね。
いざ薬師岳へ
2日目の後半戦がスタート。
小屋前の道を通って薬師岳方面へ。
途中で池塘がある雰囲気のいい場所を通過する。
大きめだからタテヤマウツボグサかな。
間山への登り。
傾斜は緩いんだけど地味にキツイ。
エゾシオガマ。
間山。
間山周辺からの下りは平行道もあったりして、今までのアップダウンに比べると楽々。
大岩ゴロゴロ地帯。
岩の上をポンポン歩けるから、こういう場所は結構好きなのだ。
実際のところ予想より時間を短縮できている。
意外とあっけなく北薬師岳。
岩場からハイマツの間の細い道へ入る際、〇印ペイントが隠れて見えにくい箇所があるので要注意。
いつの間にか雨はやみ、すごい勢いでガスが流れ青空が広がっている。
歩いてきた道を振り返ったところ。
あれは。。。
ケルンと大きい祠があるってことは。
とうとう薬師岳山頂に到着!
初めての薬師岳。
最初に計画した時から7~8年を経てやっと登頂できた。
ダイヤモンドルートの縦走と合わせて、長い距離を歩き通せたから嬉しさもひとしお。
同じ時刻に登頂された単独女性にカメラを託す。
撮影ありがとうございます。
強風で帽子がテンガロンスタイルになってる。
この直後、薬師岳山荘方面から登ってきた数名のハイカーさんが登頂。
避難小屋跡。
あとは薬師岳山荘へ下るだけ。
ザレザレの道だけど、心はルンルンと晴れやか。
温かい寝床と美味しいご飯が待っている(笑)。
薬師岳山荘の楽しい出会い
眼下に赤い屋根の薬師岳山荘。
あともう少しだ~~。
実は、17時くらいになってしまうんじゃないかと心配してた。
スゴ乗越小屋の手前で心が折れかけたけど、明るいうちによく歩き通せたね。
自分を褒めてあげたい気分。
約5年前、テン泊装備で2日目に12時間(ルートロス含む)歩いた記録はこちら。
うわーい、やったー!!
薬師岳山荘。
スゴ乗越小屋からちょうど5時間。
スゴのカレー休憩1時間を除いて、五色ヶ原キャンプ場から合計11時間。
おつかれさまー!!
嬉しすぎて色んな角度から小屋を撮る。
【薬師岳山荘】
1泊2食 13000円
お湯500ml 300円
http://www.yakushidake-sansou.com/
電話での予約時、とても心配してくださった女将さんは下山されていてご不在。
若旦那さんがめちゃくちゃいいお方で、温かいお言葉と笑顔で迎えてくださって大感激。
スゴ乗越小屋の男性スタッフとは雲泥の差。
また、テン泊装備で11時間で着いたんだから健脚ですよとお褒め頂き、登りが超苦手な私にとってはこの上ない喜びとなる。
更にすごいと思ったのは、宿泊者の名前を憶えていらしてちゃんと名字で呼んでくださるところ。
HPの笑顔そのままの、いや、それ以上に素敵なお人柄の若旦那さんであった。
そして、今頃になってまさかの青空。
薬師岳山頂がすっきり見えるサプライズ。
登山あるあるだけど今日はもう何でも許しちゃう。
薬師岳よ、最後に晴れてくれてありがとう!
薬師岳山荘の夕食。
これこれ、ケチャップの“やくし”オムレツ。
心のこもった温かい肉じゃがのほくほく感を噛みしめて。
味噌汁が沁みる。
ごはんが旨い。
温かいほうじ茶も嬉しい。
アジフライの尻尾まで食らい、何ひとつ残さず完食(笑)。
ごちそうさまでした!
温かい寝床。
貴重品だけ手元に置きザックは廊下に。
持参したシュラフカバー等を使用する。
宿泊者は7名だけのゆったりモード。
歩きすぎてさすがに足がだるい。
単独女性2人と言葉を交わすようになり、自然に仲よくなって楽しいおしゃべり。
同じ山域を歩く者同士、山に対する感性が似ていたり、わかり合えることや共感することが多々あって話は尽きない。
まゆさん、ひろこさん、本当に楽しかったよ~♡
ありがとうございました!
夕飯後、3人で外に出てみるとドラマチックな夕焼け。
なんて綺麗なんだろう。。。
薬師岳山荘に泊まって本当によかった。
こんな日のために、長らく延期になっていたのかもしれないね。
山はもちろん好天のほうがいいに決まっているけれど。
雨でも風でもそれなりに感じられることや勉強になることもある。
山が雨だとすぐ「残念でしたね」と言ったりコメントする短絡的な人は好きじゃない。
むしろ、厳しい環境下でどんな工夫をしてどんなことを感じたか、後々思い返すのはそんな山たちばかりだ。