かねてより憧れのエリアだった蔵王。
厳冬期のスノーモンスターが有名だけれど一度も訪れたことがない。
初夏には不忘山のハクサンイチゲ群生が見事らしい。
どうせなら不忘山~屏風岳~刈田岳~熊野岳の南蔵王縦走にトライしたくて、複数の登山ブログやサイトを読み漁る日々。
長い行程を歩くのでできれば白石蔵王駅で前泊するか、もしくは夜行バスを利用した早朝の現地入りが望ましい。
ところが、私の休みに合わせたアクセス方法がなかなか見つからず難航する。
福島行き夜行バスはあっても白石蔵王へは新幹線利用となってしまい高くつく。
白石蔵王駅の最安ホテルは満室で前泊ができず、それならば逆ルートはどうか調べるとあいにく日曜夜だけ山形行き夜行バスの設定がなかった。
おりしも梅雨入り時期が迫っているため月曜以降は雨マークが。
万事休す。
それでも頭の中は既に蔵王モードになっており、そう簡単に南蔵王縦走が諦めきれない。。。
出発当日の早朝4時に目が覚めトイレに行く。
ピックアップしておいたタブを何気なく開いたところ、なんと公共交通機関で同じルートを歩いている女性のレコが。
しかもアクセス情報だけでなくイートインできるコンビニなど、ありがたい情報が書かれているではないか。
白石蔵王駅ではなく白石駅利用は盲点であった。
これだ!と膝を打ったのは言うまでもない。
飛び起きて夜行バスのネット予約と決済、それから出勤前に電話でタクシー予約をして準備万端。
いよいよ蔵王に行けるとウキウキしながら仕事をする。
ただし、マウンテンフォーキャストでは風速50mとなっており、とてもじゃないけど登山には適さない天候。
てんくらでは風速20mくらいだったかな。
次の休みが雨マークの予報となると、強風でも晴れていたほうがいいと判断して月曜日に決行した次第。
宮城県から山形県へ抜ける約18kmの縦走、私に歩き通すことができるのか!?
もくじ
往復のアクセス
[往路]
24:30 バスタ新宿より夜行バス(5000円)
04:58 福島駅西口バスロータリー
**ファミマ福島駅西店にてイートイン**
06:16 福島よりJR東北本線
06:48 白石
06:56 白石駅よりタクシー(5630円)
07:22 みやぎ蔵王白石スキー場
[復路]
17:20 蔵王温泉BTより路線バス(1000円)
18:05 山形駅
**平田牧場ホテルメトロポリタン山形店**
19:31 山形よりつばさ158号
自己CT
07:25 みやぎ蔵王白石スキー場
07:29 みやぎ蔵王白石スキー場無料休憩所 07:33
07:59 白石女子高校山小屋跡
09:13 弘法清水 09:18
10:20 不忘の碑・カエル岩 10:23
10:39 不忘山 10:44
11:15 アイハギの峰
11:33 南屏風岳 11:36
12:00 水引入道分岐
12:08 屏風岳
12:22 分岐
12:37 芝草平 12:39
12:57 杉ヶ峰
13:12 前山
13:28 刈田峠避難小屋分岐
13:41 刈田峠登山口 13:51
14:21 刈田岳
15:03 蔵王山(熊野岳) 15:14
15:27 ワサ小屋跡分岐
**道なき雪原トラバースで尻セード&笹藪こぎ**
15:52 地蔵山頂駅
※お花や野鳥を観察しながら歩いているので、CTは比較できません
特にこの日は爆風のため耐風姿勢をとったり待機中にウェア調整などもしています
福島から宮城、白石スキー場へ
バスタ新宿からの夜行バスは、途中で2回ほど休憩をはさみ予定より15分ほど早く福島に着いた。
閑散とした早朝の福島駅西口。
それもそのはず、5:30まで全ての扉が閉鎖中なので駅構内(トイレ含む)に入ることはできない。
西口から東口へ地下通路を歩くことは可能。
30秒ほど歩いてファミマ福島駅西店へ。
リッチモンドホテル福島駅前の1F、出入口が2箇所あり店内は広々としている。
ちなみに福島駅から一番近くてイートイン可能なコンビニ。
コーヒーとパンを購入して始発までの時間をのんびり過ごす。
メガネの小太り男性スタッフは殆ど言葉を発さず不愛想で感じが悪かったが、イートインできるスペースはレジから離れていて快適。
いつも思うけどこういう人はサービス業やらなきゃいいのに。
始発電車で白石駅へ移動。
トイレを済ませ改札を出ると既にタクシーが待機していて、私の姿を見た運転手さんはすぐ出てきてくださった。
予約時、営業は7時からなので…と仰っていたのにありがとうございます。
運転手さんによると、この辺り一帯ソーラーパネルの設置やら中途半端な開発によって自然が破壊されつつあるとのお話。
また、風力発電施設の話もあったがどうやら頓挫しているらしい。
東京住みの私からすると自然が豊かでとてもいいところだけれど、地元のかたにとっては色々なご苦労があるのだろう。
運転手さんと楽しくお話しているうちに、みやぎ蔵王白石スキー場に到着。
この黄色い建物自体は閉鎖中。
お天気や長い行程を心配してくださったり、お菓子をくれたりと優しい運転手さん。
不忘山の山頂にかかっていた雲については「風に飛ばされてるから大丈夫そうですよ」と励ましてくれる。
何度もお礼を言って運転手さんとお別れ。
誰もいないかと思った駐車場には数台の車が停まっていた。
黄色い建物からすぐのところに登山道入口。
白石スキー場*サラサ&ヤマツツジ祭
駐車場から少し登って。
みやぎ蔵王白石スキー場の無料休憩所でトイレを済ませ、記入してきた登山届を鍵付きポストに提出。
売切れが多かったが自販機で水分の補充はできそう。
スキー場のゲレンデをゆるゆると登る。
風が強いのは想定内、おかげさまでそれほど暑く感じない。
野鳥の声がそこかしこで聞こえ木の上に鳥のシルエットを探す。
葉っぱや木の実だったりすることも多いけど、野鳥が見えた時は小躍りしてしまう。
ホオジロっぽい野鳥が写っていたが残念ながらピンボケ。
振り返ると青麻山(799m)が見える。
もう少し上で出会ったご年配女性のお話では「ニリンソウがすごい山らしい」とのこと。
きゃあー!
キュートなサラサちゃんがいきなりのお出迎え。
サラサドウダンが登山道脇にいっぱい。
花だけじゃなく新緑も綺麗で頬がゆるむ。
タニウツギ。
登山道入口にもちょこっと咲いてたけど、こちらの花数がすごい。
風に揺れるサラサドウダン。
右も左も奥にも咲いててサラサづくしだよ。
そうこうしているうちに白石女子高校山小屋跡。
ここからは日陰の区間となる。
樹林帯で見つけたツマトリソウ。
わわ!ギンラン発見。
4枚のミツバオウレン。
フレッシュなチゴユリを見つけて大はしゃぎ。
この可愛さ、もう反則だよ~。
白っぽいサラサちゃん。
ヤマツツジがあちこちに。
色味が薄いめ濃いめと様々。
シロヤシオの葉っぱも可愛い。
うわー、前後左右ヤマツツジだらけ。
淡いピンクのイワカガミ。
マイヅルソウもそこかしこに。
分岐。
ちょこっと展望が開ける。
サラサドウダンの濃いめバージョン。
これはレンゲツツジのような気がする。
丸太の階段をゆっくりと。
おぉ、ナガハシスミレじゃないの。
コミネカエデの花。
弘法清水*シラネアオイ
お花を探しながらゆっくり歩く。
弘法清水に着いたー。
弘法清水は湧き出した水でぬかるんでいるところあり。
タクシーの運転手さんから頂いたクッキーで一休み。
青空が気持ちいい。
土留めのある登りに差し掛かる。
この間もどんどんと雲が流れていく。
あー--っ!
心待ちにしていたシラネアオイ!!
葉だけが残り花は散っている子ばかりだったのですごく嬉しかった。
ショウジョウバカマは終盤。
ん、ピンクっぽいアオイちゃん。
ムラサキヤシオも出てきた。
そして、いよいよハクサンイチゲのご登場。
雪の重みで曲がったダケカンバの木。
振り向くと川原子ダム湖が見える。
ミツバオウレンが歌って。
大勢のアオイちゃんが応援してくれる。
大量の雲が青空を駆け抜けていく。
陽射しを浴びて嬉しそうなハクサンイチゲ。
私も嬉しいなぁ。
おぉ、ユキワリソウ(ユキワリコザクラ)が出現。
小さくて繊細、それでいて逞しい花。
登るにつれハクサンイチゲの数が増えてくる。
不忘の碑・カエル岩*ハクサンイチゲ
あっ、あれは登山ブログで見ていた例の岩じゃない?
カエル岩が目の前に。
その前に不忘の碑。
1945/3/10吹雪の夜に、3機のB-29が相次いで不忘山に墜落したという。
東京を爆撃するはずだった敵国の兵士を慰霊するとは普通に考えれば珍しいこと。
カエル岩。
立ち位置をずらすとカエルに見えるかも。
ガンバレ岩、ありがと。
イワベンケイ蕾。
花が咲いてなくても可愛い。
あのピークが不忘山。
不忘山に近づくほど風が強まっていく。
下山してきたオジサマより「(上は)風がビュービューだけど花は綺麗だよ」と声をかけられる。
その右手に延びるたおやかな稜線は南屏風岳~屏風岳。
くーっ、これも見たかったんだよね。
山肌に少しだけ雪が残っている。
新緑の上を流れていく陽射しと雲の影。
爆風の中、咲き誇るハクサンイチゲたち。
正直、お花を観察したり撮影をする余裕がないくらいの強風。
時々身体が持っていかれそうになり耐風姿勢をとる。
たくさんの蕾がスタンバイ。
咲きたてほやほやのハクサンイチゲ。
綺麗ね。
会えてよかったよ。
爆風の不忘山*ユキワリコザクラ
自分を励ましながらゆるゆる登って。
やっと山頂へ。
爆風の不忘山(1705m)。
予想していた通り3時間かかった。
まだまだ先は長いので山頂標だけ撮って前進する。
刈田岳まで8㎞もあるのか…。
山肌に群生しているハクサンイチゲ。
爆風に耐えながら太陽をまっすぐ見つめる花姿。
不忘山から下りてる最中もものすごい風。
画像ではのんびりムードに見えるけど。
この祠付近で思いのほか大勢のハイカーが休憩していた。
岩の陰にひっそりユキワリコザクラ。
ほんと健気だわ。
花弁が大き目のユキワリコザクラ。
ユキワリコザクラの群生。
可愛すぎだよ。。。
ユキワリコザクラがこんなに咲いてるとは。
慰霊碑がひっそりと。
爆風が吹き荒れるたび、パタゴニアフーディニのフードが耳元でバタバタと音を立てている。
もちろん覚悟はしていたし撤退などする気はないのだけれど。
あの稜線を無事に歩くことができるのだろうかと一瞬不安になる。
夢中で下りてきて振り返るとピラミダルな不忘山の姿。
この辺りだったか、かがんだ状態でザックから手袋を出して装着し、フードの下に被っていたキャップをザックにしまった。
カメラケースの裏側に入れておいた自己CT表を確認しようとしたら、いつの間にかなくなっていたことに気づく。
結んでいた髪ゴムを落としたのはキャップを脱いだ時と思われる。
あらら~。
ハクサンイチゲに見守られ歩を進めることに。
午後になるとだんだん風速が弱まるという予報を信じて。
おちょぼ口のコメバツガザクラ。
ブーケみたいなユキワリコザクラが点在。
あなたたちは強いね。
南屏風岳~屏風岳*ミネザクラ*ミネズオウ
いよいよ中盤戦に突入。
アイハギの峰。
ため息が出るほど美しい峰桜。
縦走路のそこかしこにこれでもかと咲いている。
幸いなことに、稜線上はハイマツや木々に守られるので爆風の怖さは不忘山ほどではない。
南屏風岳。
前方にうっすら見えるのが蔵王岳か。
まだまだ遠いなー。
南屏風岳の見どころは景色だけじゃなくミネズオウの花。
大きな盆栽のようにこんもりとかたまって咲いている。
こんなミネズオウ群生を蔵王以外の山では見たことがない。
うわぁ、ヒメイチゲ発見。
見かけたのはここだけ。
タケシマランはそこかしこに。
下から覗いて喜んでる私。
細い道をどんどん下りていくとシャクナゲ。
風が弱まり青空が戻ってきたかな。
この辺はとても歩きやすい。
歩いてきた稜線を振り返ると不忘山が遠くに。
山肌に残る雪の多さが豪雪地帯を物語っている。
水引入道分岐。
屏風岳。
ピンクの可愛いスミレが何度も誘惑をしかけてきて。
なにこれっ!
お花の団体に出くわしたらもう断り切れないよ。
キレイ目なショウジョウバカマに会えた。
なかなかピントが合わないイワナシ。
芝草平*ヒナザクラ
登山道が歩き易い木道に変わる。
この辺りは芝草平と呼ばれる湿原エリア。
ベンチでのんびりしたいけど、明らかにタイムオーバーしているのでやむなく通過。
遠くに白い花が見えズームするとヒナザクラ。
新旧の木道が混在する。
おぉ、ヒナちゃん!
杉ヶ峰というピーク。
風はまだ強いが天気は順調に回復していてホッとする。
ここまでくればもうひと頑張りのはず。
とは言え、ここから鞍部まで下って目の前の熊野岳まで登り返さなければならない。
とてつもなく遠くに感じてしまう。
あの車道を突っ切って登るんだよねー。
登山道脇にあった前山(1684m)の山頂標。
道の途中にポツンと立っているので見逃しちゃいそう。
峰桜やスミレが咲いている狭い道を延々と下って。
ブレブレだけど可愛いミヤマシキミ。
大規模な枯れ木地帯が出現。
新しい木道が整備されているのを見て、蔵王エコーラインが近いことを察する。
風に揺れるヒナザクラをズーム。
唯一、手の届く位置に咲いてたヒナちゃん。
後から来た単独男性もこれを見て喜んでいらした。
おおっと、開花してるチングルマは一輪のみ。
葉っぱにピントが合ってしまう。
13:40、車道(蔵王エコーライン)にぶち当たった。
ここが刈田峠登山口か。
ランチのタイミングを逃したまま歩いてきたので休憩しよっと。
不思議なことに、稜線上の爆風と時間の制約による心理的な焦りのためかそれほどお腹が空いてない。
この看板がある地面にとりあえず腰を下ろして。
当初の予定では、蔵王山頂レストハウスのお釜カツ丼を食べるつもりだった。
時間的に無理ならば持参したキーマカレーメシ。
最悪の場合は時短ランチも視野に入れ、福島のファミマでパンケーキを買っておいたのだ。
再入荷メールで注文したモンベルのトレールチャイがとても美味しい。
前夜に沸かしたお湯が翌日の昼過ぎでも熱いって、山専ボトルはつくづく優秀。
更に、帰りの新幹線内でも残りのお湯でココアが飲めたのにはびっくり!
いつもお世話になってます。
刈田峠登山口で10分休憩して山歩きを再開。
登山道と看板があるところを登るよ。
さすがにこの時間帯は気温が上がり暑くてヘトヘト。
ふと振り返ると、超えてきたピークが応援してくれている。
刈田岳*エメラルドグリーンのお釜
舗装道路を4回横断してまっすぐ進む。
白石スキー場からの道程でここが一番堪えたかも。
どうやら刈田岳のピークに達したようだ。
グロッキー&放心状態も最高潮(笑)。
刈田岳山頂からお釜を見ることもすっかり忘れている。
不忘山周辺以外は殆ど人がいなかったのに、刈田岳でいきなり人が増えた。
おそらく車で登ってきたハイカーや観光客が多いのだろう。
あーあ、お釜カツ丼食べられなかったなぁ。。。
観光客で賑わう蔵王山頂レストハウスをチラリと横目で見て、坂道をトボトボと下りていく。
そう、まだ終わりではないのだ。
最後に熊野岳を登らないことには東京へ帰れない。
その時、お釜の上を覆っていた雲が移動して一気に明るくなる。
黒っぽかったお釜の色が一気にエメラルドグリーンに変化。
おぉぉ!なんて綺麗なんだろう。
別の位置からお釜を覗く。
荒々しい火口壁と相まって圧巻の光景。
ちょうどいいタイミングで晴れてくれるなんてラッキー♪
前方の緩やかなピークに赤い屋根が見える。
あそこが蔵王山(熊野岳)だろう。
相変わらず風が強く、フーディニのフードは被ったまま手袋も再び装着。
その稜線の右手に石造りの避難小屋。
今日は寄れないけれどまたいつか。
こんな時間なので熊野岳に向かう人はいないと思いきや、前方に登る人の姿ありホッとした。
下山してくる女性ハイカーさんに「がんばってください」と声をかけられる。
最後のピーク蔵王山(熊野岳)
火山活動が活発になった際の注意看板を通り過ぎ、岩々の斜面をゆっくり登る。
黙々と歩いて熊野岳(1841m)に登頂したのは15:03。
時間があれば蔵王中央RWの鳥兜駅まで歩くつもりだったが、時間切れのため手前の蔵王RWを使うことにした。
何とか営業時間内に間に合うとわかり胸をなでおろす。
この時間帯は犬連れの男性と私、その直後に登頂された単独男性の3名のみ。
熊野岳で自撮り。
最後まで風は強かったけど、青空が戻ってこんないい天気に。
アウターは雨具は使わずパタゴニアフーディニ1枚で充分いけた。
パタゴニアフーディニジャケットは秀逸でUⅬ登山の心強い味方。
ザックに入れておけば必ず役に立つ。
刈田岳と蔵王山頂レストハウス。
お釜カツ丼はいつか食べに来なくちゃ~。
単独男性に地蔵岳の確認をしたところ、ご親切に道を教えてくださり、目視でRWは動いてるよと教えてくださって。
大変お世話になりありがとうございました。
〇印ペイントに従って岩ゴロの道を下りよう。
最後の難関*地蔵山頂駅への残雪トラバース
目の前の地蔵岳ピークはパスして、右へ逸れる巻き道でRWの地蔵山頂駅へ向かうことにしたのだけれど。
これが大失敗になるとはこの時点では予想もしなかった。
(画像右にチラリと写っている白いモノ…)
こんな楽々な木道をルンルンと下っていく。
あともう少しでゴールだぁ~。
え。。。
目の前に突如として現れた雪原。
先ほど歩いてきた木道は雪に埋もれて消失。
前方に見えるのは赤い頭巾を被ったお地蔵さんだろうか。
最初は何とかキックステップで前進できたが、そのうち斜度がキツくなり登山靴が滑るように。
もちろんチェンスパなど滑り止めは一切持参していない。
「ええい、もうこうなったら滑ってしまえ」と笹の根元まで尻セードで滑り、四つん這いで少し歩いてまた尻セードを繰り返す。
手はすっかり冷たくなるし、道はどこへ繋がっているのかもわからない。
これは想定外のハプニング。
かなり下まで滑り落ちて目の前の笹の中を「ここら辺かな」と適当に藪漕ぎしたら、2mくらい進んだところでポンと木道に出た。
はぁぁ、助かった。。。
もしかしたら、地蔵岳に登頂していたらそちらの登山道には雪はなくちゃんと木道が繋がっていたのかもしれない。
チケット売場で尋ねればよかったのに、安堵の気持ちが強すぎて言葉が出なかった。
下のRWスタッフさんに聞いても不明瞭な返答だったので詳細は不明。
まぁ無事生還できたのでよしとしよう。
6月上旬に地蔵山頂駅の巻き道を使う予定のかたは充分ご注意を。
6月上旬は蔵王RWの地蔵山頂駅への巻き道にはかなりの広範囲に残雪があり、木道が消失しているため滑り止めなしの歩行は危険です
蔵王RWの地蔵山頂駅。
地獄から天国へ。
【蔵王ロープウェイ】
https://www.zaoropeway.co.jp/summer/index.php
2区間券 1800円
開運の鐘を高らかに鳴らす。
「カーーン!」
蔵王RW山頂線は他には誰もおらず私だけ。
お客がいる時だけ機械を動かすようだ。
樹氷高原駅で降りて別のRWに乗り換え。
蔵王RW山麓線はお客がいようがいまいが20分ごとに運行される。
どちらも乗客は私だけだったが、下のRWはスタッフさんが同乗するシステムらしい。
先ほどの顛末をかいつまんで話すと「えっ、白石スキー場から歩いてきたんですか?」とご年配スタッフさんは目を丸くされていた。
楽しくお話しているうちに降車の時間となる。
蔵王RWで下界に下り立った。
早朝からここまでの出来事がなんだか夢のように思えてくる。
新左衛門の湯♨&平田牧場山形店?
とりあえず蔵王温泉へ直行。
上湯共同浴場とか源七露天の湯などを考えていたが、坂を上りたくないのともう歩きたくないので一番近い温泉に変更。
鳥兜駅から乗車すれば蔵王中央RWの目の前にある。
湯の花茶屋 新左衛門の湯さんへ。
お高いけれど、複数の露天風呂と私好みのにごり湯がとてもよかった。
【湯の花茶屋 新左衛門の湯】
日帰り温泉 1000円
リターン式のコインロッカーあり
女湯。
お客は3~4名でガラガラ。
何種類かの露天風呂があり、硫黄が香る素晴らしいにごり湯を堪能した。
温泉から出たところでちょっとしたハプニング。
ロッカーがたくさんある中で、入れたはずの荷物が全部ない!
脱衣場に設置されていた内線を使い「私がカギをかけ忘れてしまったせいで、ロッカーの中身を全部盗まれたみたいです」とコール。
飛んできた女将さんが検証した結果「お客さん、もしかしたらこちらじゃないですか?」
私の左手首にはかけ忘れたと言っていた鍵がしっかりついていて、鍵を開けると荷物はちゃんと入っていた。
額につけたメガネの存在を忘れ探しているオジサンと全く同じ(笑)。
南蔵王縦走を無事に終えた安心感と、直前の危険な雪原トラバースで頭がだいぶ混乱していた模様……(爆)。
玄関にてオーナーさんにもお詫びを申し上げたところ、白石スキー場から歩いてきたことを大層驚かれてしまう。
また、お湯がとてもよかったお礼をお伝えしてお店を出た。
お騒がせして大変申し訳ありませんでした。
新左衛門の湯から蔵王BTへは徒歩数分、ハプニングがあったため発車時刻ギリギリであった。
蔵王BTより路線バスに乗り山形駅へ。
山形駅構内2Fの平田牧場さん(ホテルメトロポリタン山形店)で夕食。
金華豚厚切りロースかつ膳が夏季セールで割引(税込2200円)だったので即決。
ご飯大盛やおかわり無料、キャベツおかわり無料でお得感あり。
もちろんメインのお肉も大満足。
【平田牧場】
もしお釜カツ丼を食べられたら夕食はお蕎麦にするつもりだった。
山形駅周辺にはお蕎麦の有名店もあり。
どこで何を食べるかどこの温泉に入るかなど、計画している段階も実に楽しい山旅。
最後に
憧れの蔵王。
日帰りにしてはタイトなスケジュールの南蔵王縦走を無事に終え、画像を見ながらしみじみと振り返る。
雪融けのお花たちが一気に開花して縦走路を彩り、風は強かったけれども楽しく歩き通すことができた。
何といっても〆に蔵王温泉に入れるというのがこのコース取りの醍醐味。
時間があれば温泉巡りをするのもいいだろう。
山ブロガーさん、ヤマレコユーザーさん、ヤマッパーさんの貴重な情報に感謝します。
<次回予告>
近場のいい山に念願のお花を見にいく
梅雨時期のお花巡りが続きます?