いつかきっと…と思っていたマイナールートの本沢温泉。
冬季はバスが途中までしか走らずアクセスが悪いけれどやはり冬がいい。
素晴らしい雪山と温泉を堪能し、喜びに浸りながらの下山中それは起きた。
人っ子一人いない車道で思い込みによる道間違い。
絶体絶命は大げさだけれど、進退きわまった立場にいるのは明らか。
ところが、そこへ思いもよらない形で救いの手が差し伸べられる。
往復のアクセス
[往路]
09:16 小海線にて小海(着)
09:23 小海駅BSよりマイクロバス(400円)
09:52 小海リエックスBS
[復路]
15:40 稲子湯100m手前の分岐よりお車
16:00 小海駅
16:17 小海より小海線(発)
※往復とも新幹線利用
※小海駅まで送ってくださったのは、なんと稲子湯のご子息とご家族様
w(゜o゜)w
ありがとうございました!
コース状況/危険箇所等
●小海リエックス~みどり池入口
冬季バスはリエックスが終点
スキー場があるため車の利用者が多く、緩やかな登りの舗装道路に2cm程度の圧雪
ハードシェル、バラクラバ、ウールグローブ
冬靴とWストックでOK
●みどり池入口~中山峠分岐
徐々に雪が深くなるが登山道にはトレースあり
舗装道路にも交わる感じの道順
だんだん標高を上げて行く
ちょうどいい場所にしらびそ小屋がある
●中山峠分岐~松原湖分岐
ほとんど平坦な道
トレースはしっかりしている
松原湖分岐近くはやや急坂の下りとなる
●松原湖分岐~本沢温泉
ここまでくれば小屋は近い
小屋の手前にテント場、小屋直下に石楠花の湯あり
●本沢温泉~夏沢峠
ハードシェル、バラクラバ、ウール&オーバーグローブ装着
しっかりトレースがあるので峠まではツボ足、WストックでOK
夏沢峠にて12本アイゼン装着
フードを被り全ての身支度を整える
●夏沢峠~硫黄岳山頂
森林限界よりやはり強風
ピッケルは持参していたが必要性を感じずWストックで登った
ハイマツを掻き分けて進む道は2年前よりやや右寄りとなっていて、傾斜は緩やかだったように思う
●松原湖分岐~本沢入口
12本アイゼンは本沢温泉で外した
ほとんど平坦+緩やかな下り坂
危険箇所なし
本沢入口には大きな手書き看板がある
来た道を直進すると源吉新道
左右に走る舗装道路は八ヶ岳林道
ちょっと分かりにくい
<備忘録>
ピッケル、チェンスパ使用せず
その他周辺情報
[温泉]
●本沢温泉(冬季は石楠花の湯のみ)
宿泊者は何度でも入湯できる
こたつやストーブあるが部屋は寒い
“はんてん”無料で貸し出し
素泊まり 6100円(5800+暖房費300)
お湯500ml 150円
http://www.yatsu-honzawaonsen.com/
●稲子湯
温かいおもてなしの宿
食事がめちゃくちゃ豪華そう
ぜーったい泊まりに行きます!
http://www12.plala.or.jp/Inagoyu/
[軽食]
●佐久平駅 KIOSK
お弁当が充実している
キレイな待合室あり飲食可能
自己CT
[1日目]
09:55 小海リエックスBS
10:02 リエックスホテル入口
10:34 本沢温泉分岐
10:54 八岳の滝分岐
11:05 駐車場
11:07 唐沢橋登山口 11:16
11:18 みどり池入口
11:39 みどり池1.5km分岐 11:45
13:19 しらびそ小屋 13:40
13:47 本沢温泉・中山峠分岐
14:32 本沢温泉へ30分看板
14:46 ガンバレもう少し看板
14:58 石楠花の湯
15:00 本沢温泉
[2日目]
06:56 本沢温泉
06:58 白砂新道分岐
07:06 野天風呂分岐
08:16 山びこ荘 08:34
09:21 1個目のケルン
09:41 硫黄岳山頂 09:43
10:20 山びこ荘
10:52 野天風呂分岐
10:55 白砂新道分岐
10:56 本沢温泉 11:05
11:05 石楠花の湯 11:32
11:44 松原湖分岐
12:03 湯川渓谷と硫黄岳看板
12:37 ゲート
12:49 ここよりゲート迄20分看板
13:06 本沢入口 13:07
13:56 灯明橋(ここより引き返す)
14:39 本沢入口 14:46
15:23 横沢橋
15:28 本沢温泉10km小海中心地16km松原湖7km分岐 15:38
小海線の山旅
佐久平より小海線に乗車。
ディーゼルエンジン音がする。
山旅って感じがいいね。
但し、2時間に1本位しかない。
小海線の車窓から見える浅間山。
小海駅で降車した登山者は私ひとり(汗)。
皆さん小淵沢までかな?
マイクロバスの車窓より雪山が見えテンション上がる。
バスの中で冬靴とゲイターを装着。
ゲートのところが稲子湯唐沢橋登山口。
ポストに登山届を提出。
初めて歩く道はワクワクドキドキ♪
それにしても寒い、寒すぎる…。
立ったままおにぎり休憩。
油分の多いおにぎりは雪山でも凍らないよ
誰もいない。
正真正銘マイナールート。
しらびそ小屋のチーズケーキ
雪道をひとり黙々と歩く。
しらびそ小屋まで2分?
ありがたい道標。
着いたら休憩しよう。
今まで会ったのは、すれ違った2人だけ。
中に入ると単独男性が休憩中。
本日のカフェは14:00まで。
間に合ってよかった。
薪ストーブで暖をとる。
ホットコーヒーが沁みる。
窓の外に鳥さんが来ていた。
リスさんは午前中が狙い目だそうだ。
泊まりに来たいなー。
雪に覆われたみどり池。
本沢温泉で石楠花の湯を堪能
しらびそ小屋から本沢温泉へ。
本沢温泉テン場にはテントが数張。
冬は小屋泊まりがいい。
雪上テントのスキルもない上、かじかむ手で設営するのは私には無理。
一番の楽しみはこれ。
本沢温泉の外湯。
石楠花の湯、男女別のタイムテーブル。
16:30~
19:00~
翌朝と3回も入ってしまった。
山奥のひなびた温泉宿の雰囲気を醸し出す、本沢温泉看板。
部屋の中はかなり寒く吐く息が白い。
ストーブやこたつはあっても全然暖かくないのだ。
脱衣場も寒いけど、まぁまぁ綺麗で明るい。
ウワーイ!! \(^o^)/
湯温が熱すぎてすぐには入れない。
何回もかけ湯をして。
夜もいい感じ。
乾燥室兼自炊室、ここも寒い。。。
上にも書いたけれど、暖房を節約しているせいか小屋全体が冷え冷えしている。
小屋内のどこに居ても寒い。
他の山小屋の乾燥室とは違って格段に寒い
しかも20:00でストーブは消えるので実はあまり乾かない
ウールのバラクラバは半乾きのままポケットに入れて寝た
持参したレトルトおでんは大根が2個も入ってる~。
中華おこわは蒸したけど時間が足らずちょっと固め。
男性陣で盛り上がる談話室は避け、乾燥室でひとりの夕食。
そして寝る前にまた温泉。♨
厳冬の硫黄岳
☆翌朝☆
渋皮栗パウンドケーキ、チーズデザート、お魚ソーセージ、ネスレふわラテの朝食。
誰もいない談話室にて朝食の準備をしていると、5:30にパッと電気が付いた。
雑誌を含め本が沢山。
昔のワカンやアイゼンなど、古い山道具が飾ってある。
火を入れてくださった。
屋内に荷物を置かせてもらい、小屋を出て登り始める。
氷の芸術に見とれてしまう。
どこかのジャングルみたい。
オーバーグローブしてても、寒さで指先がジンジン痺れてくる。
白く輝く山がチラリ。
氷点下が作り出す白珊瑚。
身体を動かしているうちに、指先の痺れは消えた。
夏沢峠の山びこ荘。
小屋の脇で12本アイゼン装着。
なんてキレイなんだろ。
もう言葉が出ない。
素敵な雪の芸術作品をたくさん見られて感激した。
厳しい寒さの中にある美しさ。
これを感じたくて雪山をやっている。
登ってきて振り返るとこれ。
強風だけどコンディションは悪くない。
雪煙が舞い上がる。
2年前はここの暴風で右耳が凍傷になりかけた。
幸い、凍瘡(凍傷の一歩手前)で済んだけれど気をつけなくちゃ。
斜面に朝陽が当たって綺麗。
山頂に人影が見える。
快晴の硫黄岳山頂。
TG-4のお陰で雪山でもデジカメ電源落ちはなくなった。
念のため胸ポケットに入れている。
今年の冬は360度の大展望!
赤岳、中岳、阿弥陀岳。
赤岳、また行くよ☆
阿弥陀ズーム。
背後にチラリと覗くのは北岳。
中央アルプスの山々。
御嶽山。
青い空と白い雪のコントラストが綺麗すぎる。
根石岳や天狗岳が眼下に。
これから硫黄岳に登頂する登山者と何度もすれ違った。
雪のモンスターについ立ち止まる。
青と白の世界。。。
今日来られてよかった。
迂回路がまた素敵なのよー。
ついつい頬がゆるんでしまう霧氷の森。
先ほどの夏沢峠まで下りてきた。
下りはすこぶる速い。
厳冬期ならではの景色。
胸ポケットに入れておいたつがるりんごで小休止。
この辺りでフードを外し、ニット帽を落としたようだ。
「もし届いたら預かっておいてください」とお願いする。
そして誰もいない温泉に浸かって(3回目)、本沢温泉を後にした。
とんでもない道間違い、そして天使あらわる
下山路の序盤は多少のアップダウンあり。
途中からはほぼまっすぐな一本道が続く。
兎さんの足跡。?
下山中に見える景色がまたいい。
源吉新道の看板。
長い道のりを経て本沢入口に到着。
予定していたランチ休憩を止めて、すぐに歩き出してしまったのがいけなかった。。。
この後、道を勘違いして八ヶ岳林道を歩いてしまう。
最初はわずかにタイヤ痕があったがまもなく消失。
見事に、人っ子一人いない。
アニマルトレースのみ。
携帯はもちろん圏外。
燈明橋まで来てルートミスを確信。
気づくのが遅いよ (-_-).。oO
歩いている途中で何度か「ん?」という場面はあったのよ。
「慌てない慌てない」自分に言い聞かせて。
来た道を戻りながら羊羮食べる。
ウマー。
青空だけが救い…って、この道も八ヶ岳林道ですけど…。
(この時点では気づいていない)
**********
つい先ほど、源吉新道の看板がある本沢入口に引き返して本沢温泉に電話したばかり。
稲子湯登山口まで1時間(無雪期)の道を尋ねるも、、、どうやら教えてくれたのは違う道だったらしい。
そもそも、海尻駅まで歩く登山者など冬季にはいないと思われる(思い返すとそちらに踏み跡はなかった)。
**********
で、言われた通りに舗装道路を下りて行ったというわけ。
日影は緩い坂道がツルツルに凍っていたりして危ない箇所もあった。
辿り着いたのがこちらの分岐。
え。。。?
もちろん人っ子一人いない。
ネットでよく見る「日本の秘湯」の古い看板前で立ち尽くす。
途方に暮れて、再度、本沢温泉へ電話。
「あ~~そこは稲子湯さん100m手前ですね」
「私は外で雪かきをしていた人間なのでさっき電話に出たのとは違う」
自分の確認不足により道間違いしたのは私。
でも、この対応には温かみが感じられず何だか泣きたくなった。。。
そこへ一台の車が通りかかり思わず右手を挙げていた。
ヒッチハイクなど初めての経験。
藁をも掴む気持ちとはこのことか。
ハッチバックを上げてザックを置かせていただく。
小海リエックスからのスノボ帰りだそうで。
見ず知らずの私に嫌な顔もせず感じのいいご家族だなぁと思っていたら。
ふとした会話から稲子湯さんのご子息であることが判明。
山と高原地図を見ながら疑問に思ったことがあり、ご主人に尋ねてみたのだ。
「小海リエックスからだとこちらの道は遠回りですよね?」
私がその質問をしなければ、稲子湯のことは伏せておくつもりだったらしい。
これには大変驚いた。
最後の最後で思いがけなくほっこりするような出来事。
しかも予定していた電車にちょうど間に合い、小海線内でホッと胸をなでおろす。
その後は気が抜けて放心状態に。
「そういえばお昼食べてない」
佐久平駅待合室でコンビニの三元豚カツ丼を頂きながら、心まで温まる思いがした。
最後に
山の中の雪道よりも車道で迷うとは秘境の落とし穴とも言える。
いやいや、もちろん私の方向音痴と勘違いが全ての原因なのだけれど。
当時はジオグラフィカ等のGPSアプリも使用しておらず、山と高原地図だけが頼りのダメダメな登山者である。
何度思い出しても不思議でならないのは。
あのような状況に於いて、絶妙なタイミングで別の山小屋さんのお車が現れたこと。
燈明橋まで行って引き返したロスがむしろ貴重な時間差となるなんて。
山の神様が遣わしてくださった天使としか思えない。
救ってくださった稲子湯さんには感謝の念しかありません。
今年中に必ず伺いたいと思っています。
ありがとうございました!