登山

夜行バスみちのく一人旅*雨の八甲田大岳*酸ヶ湯温泉 2022/7/19(火)

八甲田山と聞くと必ず連想するのが「八甲田雪中行軍遭難事件」。

明治時代のこととはいえ、199人もの兵士が命を落とした世界最大級の山岳遭難であり、1977年に公開された映画が大ヒットとなったおかげでその知名度は高い。

「これから八甲田山に行くんだ~」と同僚に話したら、映画のイメージを思い浮かべたようで「えっ大丈夫?」と心配されてしまったほど。

 

避難小屋泊まりが大好きな私としては、以前より興味はあったものの何しろ遠すぎて。

きっかけとなったのは、苗場山の帰りに拾ってくださった東北の快活なお兄さん。

青森から長距離運転にて日帰り登山をやってのける八戸のソーリさんより「八甲田はまだ?」とオススメされ、俄然やる気が湧いてきた。

 

 

別の山に行くつもりで申請していた2連休を八甲田山に充てる。

ところが天気予報は2日間とも芳しくない。

見たいお花の開花情報も入ってきて八甲田山への想いは募るばかり。。。

 

2日間とも雨マークとなると、予定していた避難小屋泊は諦めて日帰りならどうだろう?

それでも、直前までかなり迷ったのはせっかくの遠征だから。

 

たとえ雨に降られてもいいから山で過ごしたいという気持ちが勝る。

「やっぱり行っちゃえ~!」出発当日の昼休みに往復の夜行バスをポチリ。

楽天トラベルで違う会社のバスを選んで一括予約できた。

 

 

今日のお供はもちろん『八甲田山 死の彷徨』 著:新田次郎

これね、はっきり言ってしまうと犠牲者を出した連隊の上司がクズすぎる…。

単なる雪山の遭難ではなく人災じゃないの?とさえ思う…。

 

 

往復のアクセス

 

[往路]

20:30 上野より夜行バス(8000円)

06:23 青森駅前(6:50着予定が約30分早まる)

08:20 青森駅前東口⑪よりバス(1360円)

09:01 かやの茶屋 09:10

09:30 酸ヶ湯温泉

 

【弘南バス】

http://www.konanbus.com/highway/panda.html

パンダ号(標準4列)はトイレなし

佐野SA、国見SA、紫波SA、弘前BTの4箇所でトイレ休憩

充電コンセントあり

 

運転手さんが座席表を見て、隣人がいない席に誘導してくださり感謝!

楽天トラベルで往復のバスを一括予約できた

 

【JRバス東北・みずうみ号・おいらせ号】

https://www.jrbustohoku.co.jp/route/detail.php?r=178&rc=11

予約は不要(並び順優先の自由席)

PASMO/Suica使用可(チャージ可)、案内所でのチケット購入や現金払いもOK

充電コンセントあり

 

 

[復路]

15:38 酸ヶ湯温泉よりバス(1360円)

16:57 青森駅前

19:45 青森駅前東口 ロータリー⑩より夜行バス(5500円)

05:55 大宮駅西口 エクセレント大宮ビル前BS

 

ジャムジャムライナー(独立3列)はトイレ付

2箇所でSA休憩(利用していないので場所は不明)

充電ポートあり

 

自己CT

 

09:33 酸ヶ湯温泉

09:38 八甲田山登山口

10:44 南八甲田展望所 10:45

10:47 地獄湯ノ沢 10:49

11:28 仙人岱ヒュッテ分岐

11:28 八甲田清水

12:23 八甲田大岳 12:25

13:07 銚子の首

13:15 地獄湯ノ沢

13:16 ランチタイム 13:18

14:03 八甲田山登山口

14:07 酸ヶ湯温泉

 

丸青食堂のカレーライス

 

青森駅には予定より早く着いた。

早朝は青空が見えていてそれほど天気は悪くない。

 

身支度を整え、複合施設アウガ(青森県庁が入っているビル)に向かう。

本当にこんな早朝からやってるの?と疑うくらい静か。

エスカレーターに近づくとちゃんと動きだした。

新鮮市場は6:30から開店しているが、活気を感じられないのが正直なところ。

 

 

地下1Fにある丸青食堂さんへ。

どこかな~?と歩いて行くと奥のほうで営業中。

迷わずカレーライスを注文。

テーブル席もありますよと言われてそちらへ着席。

 

【食べログ・丸青食堂】

https://tabelog.com/aomori/A0201/A020101/2000074/

 

 

 

丸青食堂のメニューはこんな感じ。

 

 

 

それほど時間がかからず、カレーライス(500円)が配ばれてきた。

大きめのチキンがゴロッと入ってて、それほど辛くないカレー。

500円とは思えない旨さ。

 

いつものコンビニパンに比べたら今日は朝から贅沢。

気持ちもお腹も満足満足。

「ごちそうさまでした、美味しかったです!」と伝えてお店を後にする。

 

 

 

夜はここで海鮮丼食べるんだ~。

お食事処おさないさん。

 

【食べログ・お食事処おさない】

https://tabelog.com/aomori/A0201/A020101/2000071/

 

 

 

造花かと近づいたら本物のユリだった。

 

青森の清々しい朝

 

みずうみ号発車まで時間があるので、ちょっと散策。

 

 

ねぶたの家ワ・ラッセを通り過ぎて青い海公園へ。

 

 

 

遠くに浮かぶあの山は?

 

 

 

“ふたり”というモニュメント。

爽やかな潮風に吹かれ、だだっ広いウッドデッキを歩いていく。

 

 

 

清々しい朝。

あぁー、やっぱり来てよかったわ。

家にいたらこの気持ちよさは味わえない。

 

 

 

ベンチで寛いでいると小雨がパラパラ。

そのままボーッと景色を眺めているうちにやんでしまった。

 

 

 

こんなところまで来ちゃったのが、自分でも信じられない。

だって本州の端っこだよ?

昨夜送られていた同僚からのLINEにそう返信すると、「豊かな時間の使いかたしてるね」とお褒めの言葉を頂く。

 

 

 

八甲田丸。

青函航路の花形だった八甲田丸を、往時に近い状態で海上博物館として利用しているそうだ。

 

 

 

みずうみ号の車窓より八甲田火山群。

運転手さんが暫し停車してくれたので撮影。

左に前嶽、中央手前が赤倉岳、奥に井戸岳、右に田茂萢岳だそうだ。

 

 

 

かやの茶屋。

観光を兼ねたトイレ休憩で10分停車。

ウォータージャグに入ったお茶が無料でお代わりも自由。

“一杯飲むと三年長生きし、二杯飲むと六年長生きし、三杯飲むとなんと死ぬまで長生きするという”…(笑)。

欲張らずに一杯だけ頂く。

 

 

 

みずうみ号はかなり大きいバスなので、週末とかでも大丈夫そう。

 

雨に濡れる花とビンズイ

 

酸ヶ湯温泉でみずうみ号を降車。

 

 

ここがかの有名な千人風呂かぁ。

さすがに混浴には入れないけど。

 

<トイレ情報>
●酸ヶ湯温泉公衆トイレ
●酸ヶ湯インフォメーションセンター

 

 

 

八甲田山登山口。

 

 

 

日本山脈縦走起点。

青森県八甲田~山口県秋吉台で5000キロ踏破だって。

 

 

 

雨に濡れた階段をゆっくり登る。

 

 

コナスビ

 

コナスビ(小茄子)の黄色い花が登山道脇にたくさん。

久しぶりに会えたね!

今日は時間制限があるのに、こんな小さい花が気になってしょうがない。

 

 

 

マイヅルソウの実に立ち止まる。

 

 

マイヅルソウ実

 

前々から思っていたんだけど、マイヅルソウ実の模様って血液型判定用紙のアレに似てる。

 

 

 

有毒ガスによる枯れ木地帯。

 

 

 

アオモリトドマツ。

 

 

 

八甲田大岳まで2.5㎞地点。

じめじめした登山道がずっと続く。

何箇所もぬかるみがある。

 

雨具を着ると暑いので折り畳み傘を使用。

急登はなくゆるゆるの登りだからできること。

 

途中で赤ちゃんを背負った若いパパさんが下山してきた。

この雨の中、ひとりでも大変なのに凄いなぁ。

 

 

イワオトギリ

 

 

ミヤマホツツジ

 

パオーンのミヤマホツツジ。

 

 

クロマメノキ

 

クロマメノキ。

秋にはブルーベリーに似た甘酸っぱい実がなる。

 

 

ネバリノギラン

 

中身のオレンジが見えると一気に可愛くなるね。

 

 

ミヤマキンポウゲ

 

咲きたてのミヤマキンポウゲ。

 

 

アカモノ

 

アカモノちゃんもそこかしこに。

 

 

 

展望が開けた。

小雨は小康状態。

このままやんでくれればいいな。

 

 

 

南八甲田展望所。

八甲田大岳まであと2㎞とあり、酸ヶ湯温泉との中間地点。

 

 

 

地獄湯ノ沢。

下山してくるペアの通過を待つ。

 

 

 

橋を渡ると小鳥の声。

ミソサザイかと思ったら「ツィーツィーツィー」が語尾に混じって。

おっと、ビンズイちゃんだ!

お立ち台にてさえずりながら、こちらを見ている。

可愛い~~!

 

 

 

さすがに遠すぎてなかなかピントが合わない。

素敵な歌声と姿を現してくれてありがとうね。

 

 

 

沢がザァーザァー。

硫黄臭がプンプン。

 

 

 

マルバシモツケ。

 

 

 

黒っぽい小鳥が木々の陰に身を隠した。

 

 

 

ヨツバシオガマ。

この辺りから雨脚がやや強くなってくる。

 

 

 

雨なのになんかワクワクしちゃう場所。

 

 

 

イワイチョウ。

 

 

ミヤマリンドウ

 

八甲田山のミヤマリンドウは濃いブルー。

 

 

 

仙人岱ヒュッテ分岐。

う~、、、避難小屋を一目見ておきたいけど時間がないのでパス。

 

 

 

しっとりと雫をまとったチングルマ果穂。

 

 

 

八甲田清水。

仙人岱ヒュッテ分岐からすぐのところ。

 

 

 

チングルマの花がまだ残ってる。

 

 

 

ハクサンチドリもあちらこちらで見かけた。

傘をさしながら慌てて撮るからピント合ってない。

 

 

 

雪融けが遅かった場所にチングルマがいっぱい。

手前にアオノツガザクラも見える。

広大なお花畑。

 

 

 

コバイケイソウの大群生。

 

 

 

ここ、花の最盛期にはすごかったんじゃないかな~。

ガスがかかっていても天国のよう。

八幡平を思い出した。

 

 

 

 

イワカガミもしっとり。

 

 

 

そして、ヒナちゃん登場。

お花を撮っている間に、折り畳み傘をさす男性に抜かれる。

 

 

 

ヒナザクラの横顔。

 

 

ヒナザクラ

 

ヒナちゃん、まだ咲いててくれたんだね!

4年前の秋田駒ヶ岳以来だよ。

 

 

 

 

チングルマの綺麗どころ。

 

 

シュロソウ

 

シュロソウの赤が目立っていた。

 

八甲田を目指す雨中行軍

 

先行されているご年配男性グループの声が断続的に聞こえる。

雨なのにやけに威勢のいいオジサマ達(笑)。

 

 

鏡沼。

 

この後は、富士登山を思い起こさせるような岩を金網で抑えた九十九折れの登山道。

途中で元気なヤマッパーさん達とすれ違う。

雨の中を黙々と登り続けるしかなく、写真なし。

 

「おっ、あと200mだってよ」と話すオジサマ達の声が聞こえる。

オジサマ達に追いついて挨拶を交わした。

 

 

 

風に揺れるウサギギク。

このウサギギクのところで撤退しようかと思ったほど。

雨が横殴りになってきて、持っている傘が強風でおちょこになったり。

 

いやいや、ここまで来たんだから山頂は登っておこうか。。。

オジサマ達と一緒に八甲田大岳を目指す姿は、雪中ならぬ雨中行軍って感じ。

 

 

 

ブレブレのイワギキョウ。

 

そして。。。

やっと。。。。

 

 

 

八甲田大岳に到着。

 

埼玉県からいらしたオジサマ達も安堵の表情。

一人のオジサマが嬉しそうに「30年前に登ったの」と話されていた。

下山は周回よりピストンのほうが早いかどうか尋ねると、同じくらいとのお答え。

 

酸ヶ湯温泉に入って15:30のバスに乗りたい旨を伝えると。

「急いで下山しても温泉に入るのは難しいかもしれないなぁ…」とか「2時間半はかかるよ」とか。

「ロープウェイ駅に下りちゃえば?」など色々なアドバイスが飛び出した。

 

ここまで来ておきながら、酸ヶ湯温泉に入れないなんてあまりにも悲しすぎる。

そこはどうしても譲れない。

予備日があるから酸ヶ湯温泉に泊まる手もあるけど、予約してないし。

 

 

雨の八甲田大岳

 

周回コースは諦めピストン下山に切り替える決断を下す。

登りより下りのほうがいくぶん早い自分の足を信じて。

とりあえず、お互いに写真を撮りっこしてお別れ。

撮影ありがとうございました。

 

 

愛用の折り畳み傘はHUS.のもの。

手のひらサイズで軽いから、ザックのサイドポケットにいつも入れている。

 

 

ゴゼンタチバナ

 

花弁の端が赤っぽいゴゼンタチバナ。

 

雨が上がったようなので折り畳み傘をしまう。

温泉とソフトクリームだけを頭に描きながらの下山。

 

 

 

銚子の首まで戻ってプチ渡渉。

 

またビンズイの声がするけど、さっき会った子かな?

この辺に巣があるのかもしれない。

元気でね。

 

 

 

やはり硫黄の臭いが漂っている。

心なしか、空が晴れてきたような。

 

 

 

橋を渡って斜面をトラバース。

 

 

 

風雨で食べる機会がなかったおにぎりを大急ぎでほおばる。

 

 

ギンリョウソウ

 

あっ、行きでは気づかなかったギンちゃん。

濡れた木道や木の根っこ、ぬかるみが多いので滑らないよう細心の注意を払った。

登山靴はドロドロ。

 

酸ヶ湯温泉&まさかの大戸屋

 

山頂から1時間40分ほどで酸ヶ湯温泉に戻ることができた。

よかった~!間に合って。

登山口に温泉宿があるというのは、心強いというか安心感が半端ない。

 

 

【酸ヶ湯温泉】

https://sukayu.jp/

日帰り温泉 1000円(フェイスタオル付、貸しバスタオルあり)

自動ドアが開いたらすぐ右に券売機がある。

 

正直に申し上げると、フロントの女性スタッフの対応が最悪。

フロントには誰もおらず「すみません」と一声かけても知らんぷり。

呼び鈴をあえて鳴らしてみたが、すぐ側でお客さんと立ち話をしていてこちらを見ようともしない。

有名な温泉宿なので黙っていてもお客が訪れるからかもしれないが、この横柄な対応はちょっと頂けない。

帰宅後に調べると同じようなレビューがあり、私だけじゃなかったんだと変に納得。

フロントってその宿の顔なんだから、別の人を配置したほうがいいんじゃない?

 

 

 

女性でも時間限定で千人風呂に入れるみたい。

酸ヶ湯キャンプもいいかもね。

 

 

 

女湯(玉の湯)へ直行。

白濁していて身体が芯から温まるいいお湯だった。

脱衣場入口にあるコインロッカーの100円は戻らないのでご注意。

 

 

ソフトクリーム(200円)

 

このソフトクリームがとっても美味!

バニラの濃い味、コーンの下までみっちり入ってお得感あり。

日帰り温泉に入ると、350円のところ150円引きで食べられるのが嬉しい。

 

外で味わっていると青森駅行きのバスがやってくる。

行きも帰りも乗客は数名でガラ空き。

 

 

 

夜は海鮮丼と決めていた。

ところが、お目当てのおさないさんが何とお休み。

店休日は水曜と事前に把握していたが、月曜が祭日だと火曜が休みになってしまうようだ。

 

しかも、前あったお店が閉店になっていたりして目ぼしいお店がない。

バス案内所ベンチで1時間近く調べたあげく、まだ見つからずに街中をウロウロする。

うわぁー!このままじゃ夕食難民になりそう。

 

結果的には、青森でまさかの大戸屋というオチ(笑)。

チキンかつの醤油麹レモンソース定食(980円)、何だかんだ美味しかったからよしとしよう。

食後に大戸屋ティラミスを狙っていたけど、スイーツが入る余地ないくらいガッツリの夕食。

ご馳走さまでした。

 

【食べログ・大戸屋 青森新町通り店】

https://tabelog.com/aomori/A0201/A020101/2004149/

 

最後に

 

どんな過酷な山行でも「行かなきゃよかった」と感じたことは過去10年間一度もない。

八甲田大岳の直下では心が折れかかったけれど。

 

「雨に降られてもいいから山で過ごしたい」との強い気持ちは今回も揺るがなかった。

山は晴れでも雨でも楽しいものだ。

 

 

当初は、避難小屋に泊まって翌日の昼間に新幹線で帰る計画。

その場合、2日目も夜行バスで帰宅してシャワーを浴びてから職場へというプランも考えたが、どうしても寝不足になるのでやめたほうがよさそう。

 

休みと天気のタイミングが合えば、秋頃に避難小屋泊まりで晴れの日にリトライしたい。

きっかけを与えてくださった八戸のソーリさんありがとう!

 

 

 

しおん
2011年4月、初めての登山で人生が変わった。山のとりこになって早10年。 今一番行きたい場所に、いつもひとり気ままに出かけています。 無類の猫好き。(=^・^=) 東京在住。
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