三峯神社から雲取山は未だかつて歩いたことがない。
季節に関係なくいつも大混雑していそうなバス利用が面倒だったのと、比較的ロングな行程であることから敬遠していた。
三峯からは雲取山荘に泊まるのが妥当だが個人的な理由からそれは避けたい。
そうすると荷物が重くてキツいテント泊しか選択肢がなくなるのだ。
第一目的は三峯神社から雲取山への道を歩いてみる。
第二は雲取山荘で初めてのテント泊。
そして第三は五十人平のテン場偵察。
ご無沙汰している七ツ石小屋の看板猫でんちゃんと、山の休憩所かゑるの猫ちゃんとのふれあいも外せない。
初日は小雨予報なので悪天候は覚悟の上。
“満を持して”というと大げさだけれど、長年の宿題をやっと片づけるような気持ちでテントを担いで出かける。
もくじ
往復のアクセス
[往路]
07:52 飯能より西武秩父線
08:43 西武秩父
09:10 西武秩父駅⑤よりバス
10:33 三峯神社BS
【西武バス・三峯神社線】
https://www.seibubus.co.jp/rosen/mitsumine/
[復路]
13:00 鴨沢BSよりバス
13:36 奥多摩駅
13:50 奥多摩より青梅線
自己CT
[1日目]
10:37 三峯神社BS
10:38 三峯ビジターセンター 10:42
11:08 奥宮分岐
11:39 妙法ヶ岳分岐
11:46 炭焼平
12:18 地蔵峠 12:19
12:30 霧藻ヶ峰
12:30 霧藻ヶ峰休憩舎
12:44 お清平
13:41 前白岩の肩
14:00 前白岩山
14:25 白岩小屋
15:03 白岩山
15:07 芋ノ木ドッケ 15:08
15:48 大ダワ
16:18 雲取山荘テン場
16:19 雲取山荘
[2日目]
06:43 雲取山荘テン場
06:44 雲取山荘(トイレ) 06:47
07:17 雲取山 07:19
07:20 雲取山避難小屋 07:23
07:37 小雲取山
07:57 五十人平テン場 08:01
08:23 ブナ坂分岐
08:50 七ツ石小屋上の水場
08:52 七ツ石小屋 08:55
09:19 富士見ターン
09:31 堂所
10:40 小袖登山口
10:44 小袖駐車場
11:09 鴨沢BS
霧雨の三峯神社から霧藻ヶ峰
西武秩父駅の改札を出ると40人以上の長蛇の列。
この時点でコンビニで食料調達するのは諦める。
三峯神社からスタートする山行の食料は事前準備がベスト。
次の電車で訪れた人もどんどん加わり、更に列が伸びたが増便はない模様。
平日でしかも悪天候なのに三峯神社行きのバスは満員電車並み。
ハイカーよりも神社参拝客のほうが多いような。
1時間23分もの間、テン泊ザックを支えながらのぎゅう詰め立ち乗りはカーブが多いため正直一番しんどかった。
三峯神社BSで降車してすぐにトイレを済ませ、階段を上がると三峰ビジターセンター。
雲取山まで10.5㎞もあるのよね…とここで改めて再認識。
三峯神社のおだんごがチラリと頭をかすめるが時間的な理由から断念。
外ベンチにて持参した行動食で小腹を満たして出発。
【ぶらっとちちぶ・三峯神社~雲取山コース】
https://www.chichibuji.gr.jp/experience/hiking-syousai05/
霧雨だけど雨具は不要。
重なる葉っぱが素敵でつい見とれてしまう。
登山届をポストインするあたりで、若い男性パーティーと単独男性に道を譲った。
先日購入したエクスペディショングリッドフリースフルジップフーディ(名前長っ!)のお試し山行。
東京駅の別店舗で別の色を試着して在庫のあるフライト東京まで足を伸ばした。
身体に沿うストレッチ素材なのでサイズは余裕のあるウーマンズL、色はティングレーをチョイス。
とても軽い着心地のフリースだから寒さは全く感じない。
P社のフリース系と比較するとこちらのほうがやや薄手、胸ポケットがやや大きい、サムホールがあることでノースフェイスに決定。
もっと寒くなったらこの上にアウターを羽織ればOK。
落葉を踏みしめゆっくりと。
お地蔵さんがいるから地蔵峠なのね。
秩父宮両殿下御尊影レリーフ。
霧雨の中を黙々と登って霧藻ヶ峰(1523m)。
左側の休憩舎から工事の作業員さんらしき男性(目視はしていないので不明)の会話が聞こえ、ひと気のない場所に人がいたことに内心驚いた。
ここからは滑りやすい下りなので慎重に足を運ぶ。
うわー、キノコいっぱい。
お清平から急登を経て前白岩山
前方よりご年配男性の咳払いが聞こえてくるので、どうやら先行者がいる模様。
下りが終わるといきなり開けた場所に出た。
お清平からは急登に次ぐ急登。
黙々とただひたすら登り続ける。
きゃーー、ホコリタケ。
胞子が出るのをわかっててわざと突いてみたり(笑)。
パフパフッ。
おぉ~、これはベニテングタケよね。
前方に山頂標らしきものが…と近づくと前白岩の肩だって。
まだまだ先は長い。
雲取山まで5.2㎞、やっと中間地点か。
このような距離を示す道標が所々にあって助かる。
おっと鹿さんだ。
こちらを一瞥してそそくさと逃げる。
憂い顔の鹿さんがひょっこり、可愛い。
やった!
雨がやんで陽が射してきた。
天気予報通りだよ。
前白岩山(1776m)。
暖色系の落葉で気持ちがほっこり。
白岩小屋*冬鳥アトリとの出会い
前方に赤い屋根の建物が。
白岩小屋は、晴れていれば景色を見ながらランチ休憩できる。
ここでテントを張るハイカーもいるらしい。
またガスってきた。
中を覗いてみると布団の綿が出たりしてメチャクチャ荒れ放題。
まぁ風雨は防げそうだけど、小屋内で一夜を過ごす気にはなれないかな。
白岩小屋からまた登り。
雨に濡れた苔。
青空が広がって。
高い木の上で野鳥が集まってチリチリ鳴いてる。
誰だろう?
大き目の嘴と足が赤っぽくてエビシッポ。
頭から顔にかけて薄茶色、お腹が白。
<追記>
画像検索で出てきたのはアトリ。
ユーラシア大陸北部で繁殖し、日本には冬鳥として秋にシベリア方面から渡来する。
遠くの地から仲間と一緒に海を渡ってきたばかりだったのか。
そう思うと感動せずにはいられない。
【サントリーの愛鳥活動・アトリ】
https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/4522.html
んん?
山頂標の文字がよく見えないけどここが白岩山(1921m)でいいの?
左手に大きなテーブルが設置されている場所なんだけど。
帰宅後ヤマップを確認すると、ちゃんと立っている山頂標の画像が載っていた。
単に私が見逃しただけみたい。
芋ノ木ドッケから大ダワ
白岩山から歩いてまた開けた場所に。
ここが芋ノ木ドッケ(1946m)かぁ。
ウィキによると芋ノ木とはコシアブラ、ドッケとは尖った峰のことだそう。
道標通りに斜め右下へ下っていく。
シロヨメナに似た白い花が揺れている。
この分岐を左折すると酉谷山方面か。
もう長らくご無沙汰しちゃってる。
たった今確認したら10年も前じゃないか!
また行かなくちゃ。
だんだん歩きやすい道に。
真っ赤な紅葉に心が浮き立つ。
こちらは大ダワ。
じゃあ、本日ラストの登りかな。
女坂経由で登ったつもりが、途中でショートカット道に入ったらボロボロ小屋が目の前に現れて男坂に合流。
あれは廃屋となっている雲取ヒュッテだろう。
もう少しだがんばれ。。。
雲取山荘*雨のテント泊
緩い坂を登りきって、色とりどりのテントが見えた時の嬉しさったら!
今日はテントなんていないでしょと思っていたのでかなりビックリ。
天気悪いのに皆さん物好きね…あぁ私もか(笑)。
重いザックを空いてるスペースに下ろし、そのまま雲取山荘へ向かう。
5時間半歩いてヘトヘトだからか空身なのに身体が重い。
やけに懐かしい雲取山荘。
初心者の頃、鬼軍曹に連れてきてもらい一度泊まったことがあったな~。
【雲取山荘】
テント(予約不要) 1人 1000円
水場あり
トイレあり
トイレは土足厳禁。
登山靴を脱いでスリッパに履き替える。
テン場に戻り設営場所を探す。
ここより一段下のスペースもいくつかあったが。
山荘に近いところは既に埋まっていて。
さっきザックを置いた場所に設置。
実は少しだけ斜めってるけど、高いほうを頭側にしたから大丈夫。
山専ボトルのお湯でトレイルチャイを淹れて一口飲んだらホッとした。
シュラフに包まって地図を見たり音楽を聴いたり。
今日はよく歩いたなーと道程を振り返るのは楽しい。
ザックに入れてきた尾西の山菜おこわと野菜たっぷり味噌汁で簡単な夕食を摂る。
西武秩父駅でセブンに行けなかった時のための予備食なんだけどね。
20時前にトイレに行って戻ったところ。
ヘキサー ポーチランタン 電球色 UL1.5Lの灯りがいい感じ。
久しぶりの雲取山
☆翌朝☆
朝食はクロワッサン3個とおさかなソーセージ、カフェオレ(甘さなし)。
クロワッサン2個は予備にとっておこう。
山ではいつも食料と水分は全部消費せずわざと少しずつ残しておく。
夜間は小雨が降っていたが朝にはすっかりやんでよかった。
東の空にほんのり朝焼けが見えている。
テントの結露を丁寧に拭いてから撤収。
雲取山荘前の階段を上がって。
ここを歩いたのは10年以上前だからほぼ忘れてる。
確か季節が初夏で薄暗い樹林帯の印象だけ強く残っていたが、今は秋だからすっかり葉が落ちたせいでそれほど暗くはなかった。
この後、鎌仙人のレリーフも遠目に拝見。
雲取山(2017m)に着いた時、山頂には男性パーティーがいらっしゃった。
遠くに富士がチラリ。
墨絵のような富士をズーム。
まだ冠雪していない様子。
雲取山避難小屋へ。
雲取山避難小屋も久しぶりなので中を見ておく。
おなじみの景観。
飛竜山だよね。
手前の山肌をズーム。
まだ緑が優勢だけど素敵。
小雲取山(1937m)も忘れずに。
右手にはずっと富士の景観あり。
巻きま~す。
この巻き道がなんか素敵なのよ。
五十人平野営場の偵察
さて、そろそろ五十人平が近づいてきましたよ。
鹿避けドアをきちんと閉めて。
休憩小屋とトイレの様子。
電気設備工事が令和7年3月26日までと記載されているので、オープンは2025年の春になりそう。
関係者の方々ありがとうございます!
来年が楽しみだなぁ。
歩いてきた道を振り返る。
ここらへん一帯に張れるなら大規模なテン場になるよね。
紅葉の始まり。
七ツ石小屋*でんちゃんいるかな~
お次のお楽しみは。。。
そう、もちろんあの子。
踊ってる踊ってる。
真っ黒に枯れ果てたマルバダケブキ。
季節は巡る。
ブナ坂分岐手前の黄葉に目を見張った。
オヤマノリンドウを見かけたのはここだけ。
水場があればもうすぐ。
【七ツ石小屋】
ふふ、でんちゃんいるかな~。
小屋の玄関で奥様にご挨拶して「でんちゃんいますか~?」と単刀直入に聞いてみる。
「ここにいますよ、今日はなんか朝からここで営業してるのよ」
「あっ、いたぁーー!」
昨日から秘かにでんちゃんに念を送っていたのが通じたかな。
いきなりモフモフ攻撃をかましても全く動じないでんちゃん。
あぁ、これでこそでんちゃんだよ♥♥
人間に安易に媚びないところが可愛くてたまらない。
写真を何枚か撮ったけど全部ブレブレ。
でんちゃんの年齢を聞いたら推定8歳とのこと。
「また来まーす!」と奥様にお礼を申し上げ七ツ石小屋をあとにする。
「でんちゃんまたね~」
七ツ石小屋テン場の様子。
真っ赤な実はヘビイチゴ系かな。
七ツ石小屋下の斜面にて。
秋の花々
朝は晴れていたはずがだんだん曇り空になり、樹林帯ではガスまで出てきて。
小腹が空いてバナナチップスとサルタナレーズンで一休み。
わわわ、いたいたキッコウハグマ軍団。
昨日の三峯神社からの道にも咲いてたけど、雨で暗かったから上手く撮れなかったんだよね。
だからピント合ってなくても嬉しい。
こんなにまとまって咲いてて感激。
鴨沢が近づくとチャノキがいっぱい。
近くの木々でソウシチョウの声がした。
それにしても雲取山は相変わらず人気が高い。
山頂から小袖駐車場まで100人弱のハイカーとすれ違ったもの。
とても美しいショウコちゃん。
惚れ惚れする。
岩壁から垂れ下がるヤクシソウ。
大規模な火事があったようで焼けただれた黒焦げの家が何軒か。
木漏れ日*生姜焼き定食
11時開店(営業中の札もかかっていた)のはずが、店主と奥様はサッと奥へ引っ込んでしまう。
しかも店内は電気がついておらずTVがけたたましく野球の試合を放映中。
まかない料理中の息子さんだけが忙しそうに動いている。
何なのこの塩対応は…?と一瞬思ったが生姜焼き定食はどうしても外せない。
こんな早い時間帯にお客が来ることは稀なのかもねと思いつつ、立ったまま待機していると。
息子さんが厨房から出てきて電気をつけ窓のシャッターを開け放った。
木漏れ日さんの生姜焼き定食(900円)。
お肉は2枚だけど大きいしごはん大盛だし、具沢山のお味噌汁に小鉢も充実。
これが900円とはなんてありがたい奥多摩価格だろうか。
過去にも何度か通りかかったことはあるけど、月曜定休日に重なっていることが多く入店したのは初めて。
「美味しかったです、ごちそうさまでした!」
【たばやま観光ナビ・木漏れ日】
https://tabayama.info/stay/eat/木洩れ日。/
食後に撮影。
時間が合えばまた来よう。
山の休憩所かゑる*帰ってきたアビー
お腹が満たされたところでもう一軒のお店へ。
つやつやの実をたくさんつけたコムラサキ。
イモカタバミがわんさか。
【山の休憩所かゑる】
https://tabayama.info/stay/eat/山の休憩所-かゑる/
かゑるさん、今は営業日が縮小されて土日のみになっちゃった。
HPも閉鎖されてる。
「いとうさんお久しぶりです!」
2年間ご無沙汰してたのでお互いにあれもこれもと話が尽きない。
お目当てのマクちゃんは2Fでお昼寝、アビーはお散歩で不在。
いとうさんと話し込んでいたらひょっこり散歩から戻ってきたアビー。
「あっ!アビちゃんっ!!」と思わず叫んだら一瞬ビクッとして逃げ、いとうさんが呼び戻してくださった。
今回は猫ちゃんのお土産もすっかり忘れてきたので、いとうさんが出してきたちゅ~るをアビちゃんへ。
動きが激しくてブレブレになっちゃう。
イカ耳アビ(笑)。
横顔が大人っぽくなったね。
アビちゃんもう8歳だもんね。
でんちゃんと同い年か。
ほうじ茶だけで1時間ほど話し込んでしまい、コーヒーさえも注文できなかった。
「お前は客かっ(笑)」といとうさん。
長年のつきあいだからそんな冗談も言えるよね。
「また来ます、ありがとうございました!」
最後に
三峯からの雲取山は距離が長いだけでなくアップダウンも多くてヘトヘトになったが、テントを背負って歩けたことでまた自信がつき一歩前進できたように思う。
テント泊用ザックのグレゴリーアンバー55が、とても快適だったことを今更ながら再認識した。
パッキングもピタッときまる上、肩に食い込まず身体にフィットして背負いやすい。
型落ちのジェイド50(既に引退)に重い荷物を無理くりパッキングしていた時と全然違う。
本当はシラヒゲソウが咲く時期に歩きたかったけど日程が間に合わなかった。
それでも、登山道のそこかしこにシラヒゲソウの残骸が見られ開花時期が意外に長いのかもと嬉しくなった。
次回はお花の時期に訪れる計画を立ててみたい。